人体の仕組み

われわれ人体は、食物を食べて消化・吸収を行い、呼吸によって取り込んだ酸素によってこれらの栄養成分を燃焼させて体温を産生しています。ところが燃やす熱量があれば、捨てる熱量がなければバランスがとれません。


われわれの人体では、産生した熱量を呼気、大小便でも排熱していますが、平静時でも全産生熱量の約半分~2/3は皮膚から排熱しています。皮膚からの排熱方法には発汗(温水として熱を排泄)、輻射(赤外線として熱を放射排泄)もありますが、最も重要な熱の排泄方法は蒸泄(皮膚ににじみ出た水分に熱を与えて蒸発気化させ、気化熱を奪ってもらうことによる熱の排泄)です。


末梢血管からしみ出した水分は皮膚表面までしみ出します。続いて皮膚まで運ばれた水溶性・脂溶性の熱量を受け取って、この水分が気化します。このときこれらの熱量は気化熱となって空気中に放熱されます。

人体の仕組み


このような代謝によって全身で産生される代謝熱は、24時間止まることなく排熱され、皮膚をはじめ内臓や器官の正常な代謝を維持することができ、一定の体温を保つことができます。


したがって次のような状態が続くと皮膚温度が低下して蒸泄ができなくなり、皮膚表面付近に蒸散しそこなった水分がたまって全身に冷たいラップをかけたような状態が続いて「万病の元」となります。


ストレスが多い生活
(対人関係・時間・お金などに追われて悩む生活)
交感神経過緊張で末梢血管が細くなり、皮膚温度が低下する
冷えを受けやすい生活環境
(水のある職場や冷房の効いた場所での生活)
皮膚温度が低下して代謝熱の蒸泄ができなくなる
水分・果物の過剰摂取
(水・お茶・ジュース・牛乳・ビール・酒等飲み物全般と果物)
胃腸の温度が低下し、内臓の血流・代謝能力が低下して皮膚下にむくみとして水分がたまり、皮膚温度が低下する
衣服の薄着
(ミニスカート・ジーパンのローライズ等)
下腹部やふともも等、冷えを受けやすい部分に慢性的な冷えを受けて、全身の皮膚温度が低下する
シャワーや熱い風呂への短時間入浴 身体の表面が一時的に温まるだけで、時間が経つと急速に皮膚温度が低下する
香辛料の不足
(薬味・スパイス全般の不足)
体温を上昇させるもとである香辛料が不足すると皮膚温度が低下する

以上のような状態が長く続くと全身の皮膚表面から蒸泄できない代謝熱が体内にこもるので、肺から排熱して咳が慢性化したり、膀胱からの排熱に熱が集中して膀胱炎を頻発したり、女性では生理で代謝熱を排熱しようとするために不正出血が持続的に起こったりします。


この状態を放置すると代謝熱が身体の深部にこもり、血液が熱で変性を起こします(瘀血)。こうなると末梢血管に入れない変形した赤血球が増加するので、手足など「末端の冷え」も起こりやすくなります。


さらに血流の悪い臓器や器官があるとその部分で活性酸素が発生します。健康な代謝能力があるうちはそれらを消去できますが、消去できなくなると組織の損傷が起こり始め潰瘍等ができてしまいます。さらに組織の損傷と修復の繰り返しと冷えが続くと「ガン」の発生と進行も起こります。


しかし心配する必要はありません。これらのこととすべて逆のことを行えば病気にならずにすみますし、病気も早く治癒へと向かいます。

  1. ストレスに感じることをできるだけ避けたり、受け流す
  2. 生活環境を冷えの少ない環境にする(冷房の設定温度を上げる)
  3. 飲み物・果物はおかわりしたり、食べ過ぎたりしない
  4. 下腹部・ふとももや二の腕を冷やさない(腹巻や就寝時の靴下も有効)
  5. ぬるいお湯につかる(半身浴・サウナ・岩盤浴もよいがぬる目のお湯に長くつかる)
  6. 何を食べるにも薬味・スパイスを少し多めに添えて食べる

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