日本での西洋医学は間違い

現在の近代医学(日本では通称西洋医学)は、原形がドイツでできあがったものです。したがって様々なことが東洋医学とは異なります。


欧米のTVや映画に精通している方なら御存知のこととは思いますが、欧米人たちは他人の「脈」を診る時に頚動脈に指を当てて診ています。一方東洋では「脈」は手首で診ることが主流となっています。


一体何故でしょうか?


答は簡単です。皮下脂肪の厚さの影響です。


一般に白人系欧米人(アングロサクソン系やゲルマン系民族等)は、寒さに抵抗するために皮下脂肪が厚く、手首では取りにくいために、皮膚表面付近を通る頚動脈で「脈」を診るのです。これに対して温暖な中国では血管が浅い部分を通っているので中国では手首で脈を取る医学が発達しました。このことは体質の大きな違いを生みます。


例えば体表の皮下脂肪の厚い白人系欧米人は、体内の消化器系粘膜も日本人の2~3倍と厚く、少々の新薬等では胃腸が障害を受けにくいことが知られています。また体表の皮下脂肪が厚いので、全身が厚い脂肪組織で包まれているために断熱効果が高く、汗腺数も日本人よりも少ないということです。特に北欧系の人々は、日本人に比して汗腺数が約半分またはそれ以下であることも知られています。


このような体質的特徴は寒さに抵抗するためであって、代謝熱をにがさないように皮下脂肪を厚くしているほか、皮膚の冷却システムでも発汗後に皮膚表面に残る水分が外気でかえって冷えを生んでしまうことから、汗腺数を減らして冷えを避ける工夫がなされています。このため白人系欧米人は代謝熱を脂溶性成分(皮下脂肪)にのせて皮膚まで運搬して気化させて排熱しているのに対し、黄色人種である日本人は代謝熱を水溶性成分(汗)にのせて皮膚まで運搬して気化させて排熱しています。
    

  胃腸の粘膜の厚さ 皮下脂肪の厚さ 代謝熱の運搬方法
日  本  人 薄 い 薄 い 水溶性成分(汗)
白人系欧米人  厚 い 厚 い 脂溶性成分(皮下脂肪)


欧米人が日本人が嫌悪感を感じるほど強力な香りの強いハーブや食品を好むのは、香りの強い成分がみな脂溶性成分で揮発性が高く、体表からの排熱を促進させるためであって極めて当然のことなのです。


このような代謝上の違いから、風邪を引いた時の治療法も日本とは全く異なります。日本で風邪を引いた場合には、葛根湯や生姜湯や梅干粥などを摂って体温を上げ、布団をかぶって汗を出し、熱を汗という温水にして排泄することで熱を下げています。


ところが汗腺数の少ない欧米人(時に北欧系欧米人は汗腺数が約半分またはそれ以下と言われている)は、発汗させようとしても汗で排泄できる熱量に限界があります。そこでサウナへの出入りを繰り返して徐々に体表に血液を集めて外気や水浴で冷やして排熱したり、ミントやカモミールなどをはじめとする香りが強く揮発性の高い精油成分をたっぷり含むハーブをお茶にして飲み、皮膚からの排熱を促進して熱を下げています。


このように代謝熱の処理方法が基本的に異なる体質のために、病気の治療法も全く同じに考えることは好ましくないということです。


例えば風邪薬・解熱鎮痛剤やリウマチ治療薬として名高い「アスピリン」では、重篤な「ライ症候群」が報告され、特に北欧では小児の副作用発症率が高く、死亡例も報告されています。ところが日本では、これまでほとんど副作用の報告例はなく安全な薬として知られています。


一般に風邪を引いた時に全身の熱量を温水として発汗によって排熱しようとすると、白人系欧米人は汗腺数が少ないので、駅の少ない改札口に大量の人々が殺到したようにオーバーヒートして皮膚が大量の熱で変性してしまいます。これらが「ライ症候群」や「中毒性皮膚壊死症候群」の本態です。したがって布団にもぐったり、スポーツやサウナ等によって徐々に皮膚温度を上げて発汗するのなら問題がありませんが、特に汗腺の未発達な小児の白人系欧米人には「アスピリン」はもちろん、漢方薬では葛根湯や麻黄湯等の発汗性処方による急激な発汗は大変危険ですから注意が必要です。


このような体質の相違による理由から、欧米で正しいことが日本で正しいとは限りませんし、日本での医療常識が欧米で正しいとはかぎらないのです。よく海外留学してきた医師が「海外ではこのようにするのが常識です!」と得意になってTVなどで話をしていますが、決して「鵜呑み」にしてはいけません。

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