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      <title>笹塚薬局</title>
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      <description>漢方薬局の笹塚薬局</description>
      <language>ja</language>
      <copyright>Copyright 2012</copyright>
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         <title>治らない慢性病の原因について</title>
         <description><![CDATA[<strong>慢性病でお悩みの方へ</strong>

　慢性病で病院をたらい回しにされていらっしゃる方々に、是非一度耳を傾けてみて頂きたいことがあります。　人体は自身の代謝熱の大半を皮膚からの水分の気化エネルギーとして排熱する「皮膚蒸泄」機能によってオーバーヒートを防いで一定の37℃の体温を維持しています。　したがって皮膚蒸泄機能が低下すると体内に代謝熱があふれかえるので、人体はオーバーヒートを防ぐために様々な場所から迂回して排熱しようとします。　このようにして迂回して排熱が行われると、排熱の集中し過ぎた臓器や器官がオーバーヒートを起こして様々な病状を現わします。

　特殊な遺伝病や感染症の後遺症などの場合は別ですが、ほとんどの病気の原因はこのような皮膚蒸泄の不良による<strong>「代謝熱の迂回排熱」</strong>にあります。

○慢性頭痛・不眠・鼻血
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が上方へ突き上げて頭部に停滞することで起こる

○白内障・緑内障・ドライアイ
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が上方へ突き上げて目に集中することで起こる

○アレルギー性鼻炎・花粉症・副鼻腔炎
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が上方へ突き上げて鼻に集中することで起こる

○中耳炎・メニエール病
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が上方へ突き上げて耳に集中することで起こる

○風邪・肺炎・気管支炎・喘息
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が肺・上気道へ集中して起こる

○逆流性食道炎
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が胃の噴門部付近に集中して起こる

○胃潰瘍などの胃疾患
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が胃に集中して起こる

○高尿酸血症・高脂血症（中性脂肪・コレステロールなど）
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が血管中にこもることで起こる

○膀胱炎・血尿・慢性腎疾患
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が腎臓・膀胱に集中することで起こる

○子宮内膜症・卵巣嚢種・子宮筋腫
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が子宮・卵巣に集中することで起こる

○慢性下痢・血便・クローン病
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が大腸に集中することで起こる

○慢性関節リウマチ・膝痛・肘痛
　皮膚蒸泄の不良によりこもった代謝熱が関節に停滞して起こる

　いかがでしょうか？　現代医学的に生体の原因物質を物理的に研究してその原因のわからない病気の大半が、全身の皮膚面からの皮膚蒸泄機能の低下によって起こる代謝熱の迂回排熱による炎症と考えられます。

　現代医学は目に見えない熱エネルギーを測定することも研究することも一切しません。　このため炎症が起こっていればすべてその場所だけの局所の炎症性の熱としか考えないので、原因が特定できないのです。

　漢方処方において風邪薬である葛根湯や小青竜湯ばかりでなく、胃腸薬の安中散、利尿剤の五苓散、内臓疾患向けの柴胡桂枝湯、駆瘀血薬の桂枝茯苓丸・八味地黄丸・桃核承気湯など繁用処方に広く桂枝が配剤されているのは、特定の内臓や器官にこもって炎症を起こしている熱エネルギーを広い皮膚面に分散・気化・放熱して炎症を解消しようという代謝に流れをつけようとする漢方の考え方によるものです。

　「皮膚蒸泄」は生活習慣の近代化によって悪影響を受け、機能低下している方が大変多いのが実情です。　以下のようなことによって「皮膚蒸泄」が低下しています。

　・水分の過剰摂取（皮下に停滞して全身に冷たいラップをかけたようになって皮膚蒸泄機能が低下）
　　食後にお茶のほかにジュースやコーヒーを飲む
　　仕事中にひんぱんにお茶やコーヒーを飲む
　　かばんにペットボトルを入れて持ち歩いては飲む
　　退社後にひんぱんにアルコール（アルコール類は大半が水分）を飲み歩く

　・エアコンに漬かりっ放し（皮膚温度が低下するので皮膚蒸泄機能が低下）
　　特に夏期のエアコン下では冷やし過ぎで皮膚が冷たくなる

　・運動をしない
　　血流（特に皮膚面の血流）が悪くなる（皮膚温度が低下するので皮膚蒸泄機能が低下）

　・お風呂に入らない
　　シャワーのみで湯船に浸からない（皮膚温度が冷えて急低下するので皮膚蒸泄機能が低下）
　　血流（全身・皮膚面の血流）が悪くなる（皮膚温度が低下するので皮膚蒸泄機能が低下）

　・辛い食べ物を食べない
　　辛い食べ物を刺激物として食べない（皮膚温度が低下するので皮膚蒸泄機能が低下）

　これらの生活習慣によって起こる皮膚面の血流低下によって皮膚蒸泄機能が低下するので、熱が迂回してこもりやすくなり、内臓や器官に炎症を起こしやすくなっています。

　したがってこのような状態を鎮痛解熱剤・抗炎症剤や抗生物質などで局所的な炎症・発熱を一時止めても、原因を取り除いていないので慢性化して治らないことがよくおわかり頂けるのではないでしょうか？

　現代医学で慢性化した病気が治らないのは、このような原因に対する発想そのものがないために炎症や痛みを取り除く対症療法しかしないためです。

　<strong>慢性病でお困りの方は漢方治療を試すべきです。</strong>　　]]></description>
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         <pubDate>Fri, 24 Feb 2012 10:44:27 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>牡　蠣　（ボレイ）・　龍　骨（リュウコツ）</title>
         <description>　[ボレイ]
[薬用部位]　Ostrea gigas Thunb.（カキ）の貝殻
[起　源]　温帯～冷帯の海岸の岩場や浅瀬で、潮の干満によって水中に没したり、陸上になったりする汽水域でやや富栄養化した波のおだやかな場所を好むイタボガキ科の二枚貝です。　カキは決まった形態をしていないために分類方法に諸説があり、形態で行う分類がはっきりしていません。
[成　分]　CaCO₃,CaPO₄,CaSiO₃
　　　　　　K ,Na,Fe,SO₄,SiO₃,Cl、タンパク質、アミノ酸
[用　途]　薬用（制酸剤、鎮静剤、漢方薬用）、食品添加物

　[リュウコツ]
[薬用部位]　Antilopinae（レイヨウ亜科）、Camelidae（ラクダ科）（ラクダ）、Elephantidae（ゾウ科）、Equidae（ウマ科）（三趾馬）、Rhinocerotidae（犀牛）、その他各諸属多種の化石
[起　源]　体重が重く、行動範囲が大きく、骨への加重負荷の大きい大型哺乳動物の化石骨
[成　分]　CaCO₃,CaPO₄,CaSiO₃,K ,Na,I,Fe,SO₄,SiO₃,hydroxyapatite
[用　途]　薬用（心悸亢進、不眠、鎮静、遺精、漢方薬用）

[薬　能]　これらの生薬は成分的には主成分がカルシウム塩であり、微量ミネラルの違いにこだわると双方の生薬ともに産地の違いと生薬自身の特性などの区別が不明瞭になってしまいます。　また漢方家においてはほぼ古典の記載をまるまる鵜呑みにしている状態なので、古典の記載をそのまま知識にしているだけです。　これでは両者の違いにこだわって漢方処方に配剤する理由が全くわかりません。

　このような場合に便利なツールとして利用できるのが「生態生薬学」です。

　まずはボレイについてですが、カキはイタボガキ科に属する汽水域～海生の二枚貝です。　一般に目にするのは養殖品の二枚貝で1枚が大きく凹み、もう1枚がこれを平らに蓋をする形状になったものが有名ですが、天然のカキは元来岩場の凹みにはまり込んで不定形に生育するために決まった形がありません。　このため形態で分類する分類学においては大変やっかいな生物で、変種・亜種などでは学術見解が不定で統一された生物学的な分類がありません。

　またカキはアサリやハマグリなどのようにしきりに動き回ることのできる足を持たず（正確には足が小さすぎて移動する能力がない）、吸盤状のアワビのように岩場にしがみついて動き回る筋肉もなく、一か所に固定的に生育するので基本的に移動することができません。　したがって岩場などと一体化して固定した場所で海水から酸素と栄養分を濾し取って生活しています。

　またカキは種類にもよりますが基本的には川の河口付近など富栄養化した汽水域の波打ち際を好み、生活雑排水を栄養源として生きているので、その浄化作用が近年大変注目されています。　近年汚濁化の著しい瀬戸内海において、広島湾では他の瀬戸内海地域に比べて特に水質がよく透明度も高い現象が知られていますが、これは盛んなカキ養殖による水質浄化作用によるものであるとされています。　また潮の干満により水位が変わるので、海中に没する時間帯と大気にさらされる時間帯という不安定な毎日を生活しています。

　海中に没する満潮時などの時間帯には海水を濾過して酸素や栄養分を濾し取って生活していますが、反対に干潮時など水中でなく大気中に曝された時間帯には、水中の溶存酸素もないので酸素を使用した呼吸もできません。　一般に二枚貝の多くは水中から離れると呼吸ができないので、せいぜい二日ほどしか生きられませんが、カキは大量に蓄えたグリコーゲンを利用して解糖系代謝（無酸素代謝）を行うことができるので1週間から10日前後も生きることができます。

　古人は何故このカキに注目したのでしょうか？　それはその生態を考慮すればわかります。　カキは1日のうちでも海中に没する時間と大気中に曝される時間の双方の激しい環境変化に適応し、また水質の汚れた（富栄養化した）水中を好み、その極めて強力な水質浄化作用を発揮して、海水を浄化しながら生きています。

　以前夏休みの暑い時期に日本三景の松島に行った時、岸壁の波打ち際に張り付いている大量のカキを取ろうとして熱くてとても掴めなかったことがあります。　また動くことのできないカキは冬の厳寒期には手が凍りつくような波打ち際でも打ち付ける冷たい波に耐えて生育することができます。　このことからカキは季節変動で0℃～50℃前後の温度差、毎日の日較差でも20℃～30℃の温度差に耐えて代謝を行うことができる能力のあることが最大の特徴です。

　カキのもうひとつの特徴は何といってもその強力な水質浄化作用です。　わずか1個のカキで1日に400Lもの海水を浄化することが知られていますが、古人はその水質浄化能力に目をつけたに違いありません。　さらにカキの生育する汽水域は海水と淡水の混ざり具合が潮の干満で1日に2回変動するため、塩分濃度も大きく変動するので浸透圧も対応して変動させて代謝を行っています。

　以上を総合して考察すると、カキは富栄養化で汚濁した環境で、温度と浸透圧・酸素濃度等の毎日起こる激しい変化を克服して生活する強力な代謝能力のあることがわかり、薬用となる殻の部分にはこれらの激しい変動を克服しながらミネラル代謝を持続的に行いながら大きくなってゆく作用のあることがわかります。

　これらのことからボレイには体内の富栄養化して汚濁化した血流中において、代謝が不安定なために温度やｐHのほか酸素分圧などが不安定になっている組織や器官の主としてミネラル代謝を安定に持続化させる作用のあることがわかります。

　もうひとつ漢方家が解説を嫌がるリュウコツです。　リュウコツは大型哺乳類の化石化した骨ですが、注目しなければならないのは大型哺乳類と指定していることです。　中国ではゾウ・サイ・三趾馬（現在は絶滅したひづめが3本の大型の古代ウマ）など大型の哺乳類というだけで特定されていません。　今日でも中国で薬用として珍重されるココツ（虎骨：現在は絶滅危惧種のため流通しているほとんどがニセモノ）がありますが、古人がこれら大型の哺乳類にこだわる理由は何でしょうか？

　それは骨にかかる体重負荷です。　古人は大型哺乳類を観察してその骨の丈夫さに気がついたのです。　中国からシベリアに生息するアムールトラで考察してみましょう。　アムールトラは体長2.5～3m前後で体重200～300kg前後とされています。　体重を250kgと仮定すると4本足のトラの1本の足にかかる体重はおよそ60kgと足1本にヒトの成人男子の平均体重（単純計算でヒトの約2倍）がかかっている計算になります。　さらに注目すべきはその生態です。

　トラの生態はヒト昔前の動物園でないと感じとることができないかもしれません。　ひと昔前野生から檻に入れられたトラは滅多にジッとすることなく檻の中を歩き続けたものでしたが、現在のトラはすべて動物園で産まれた個体なのでこのような野生の性質を持ち合わせていません。　野生のアムールトラは１辺が約20km四方の400～500km²ほどをなわばりとする習性を持ち、特にオスはなわばりを守るため、このなわばりの縁に沿って毎日必ず20～30kmも歩くといわれています。

　これがゾウになると種類と季節にもよりますが1日に100km前後も歩くことが知られています（体重4～5t なので足1本にかかる体重は約1t ）。　サイについての生態は諸説ありますが、巨体(体重2tなので足1本にかかる体重は約0.5t)が1日に数km～十数kmも移動するとやはり骨にかかる負荷は大変大きいものがあります。　これら大型哺乳類の毎日足の筋肉と骨にかかる負荷やストレスはさらに数倍になり、血流不全やそれに伴って発生する活性酸素を克服して代謝を行っていることがわかります。

　漢方を学んだ方ならおわかりかと思いますが、古人は病邪は皮膚から入って筋肉に及び、最終的には骨に及ぶものと考えていましたから、毎日長距離を歩くこれらの大型哺乳類が暑さ・寒さに負けることなく病気ひとつしないことは大変不思議に思ったに違いありません。　このような観察眼から大型哺乳動物をリュウコツという薬物として選定したはずであることがわかります。

　以上のことからリュウコツとは、暑さや寒さのほか過労やストレスなどによる血流不全で発生する活性酸素を消去して造血機能など骨髄中の血流や代謝を維持する能力のあることがわかり、ボレイよりもやや炎症性を帯びた病症に適応することがわかります。

　ボレイとリュウコツはよくペアで使用されますが、血液の汚濁や血流不全などが原因の病状（代謝）の不安定さによる寒熱の交錯などに適応するボレイに加えて、過労やストレスによる慢性的な代謝の不安定さが加わった場合にリュウコツを加えるべきであるものと考えられ、リュウコツの適応症の方が不安定な代謝が慢性化して体内に排熱できない代謝熱がこもっているものと考えられます。</description>
         <link>http://www.sasazuka.co.jp/10_ecological_pharmacognosy/post_80.html</link>
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                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">10_ecological pharmacognosy</category>
        
        
         <pubDate>Sat, 07 Jan 2012 15:42:20 +0900</pubDate>
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            <item>
         <title>冬期休暇（年末年始）のお知らせ</title>
         <description>冬期休暇（年末年始）のお知らせ

H.23 

　12月30日まで　　通常営業　10：00～19：00
 
　12月31日　　　　休　　　業

H.24

　　1月 1日　　　　休　　　業

　　1月 2日　　　　休　　　業

　　1月 3日　　　　休　　　業

　　1月 4日　　　　休　　　業

　　1月 5日　　　　短縮営業　10：00～18：00

　　1月 6日　　　　短縮営業　10：00～18：00

　　1月 7日　　　　短縮営業　10：00～18：00

　　1月 8日以降　　通常営業　10：00～19：00</description>
         <link>http://www.sasazuka.co.jp/09_information/post_79.html</link>
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         <pubDate>Fri, 02 Dec 2011 10:48:44 +0900</pubDate>
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            <item>
         <title>知　母（チ　モ）</title>
         <description>[薬用部位]　Anemarrhena asphodeloides Bunge の根茎

[起　源]　中国東北部の標高1,000～2,000m前後の日当たりの良い半砂漠状の丘陵地の乾燥した砂地や草原を好む草丈15～70㎝のユリ科の多年草（ハナスゲ）です。　葉はスゲの仲間に共通して地上部の茎がほとんどなく、実質的に根生葉に近い状態になっています。　初夏には中央に背丈の高い花茎を伸ばし、暑い昼間をしのいで夕方涼しくなると芳香性のある小さなユリの花を多数咲かせます。

[成　分]　サポニン類　timosaponin A-Ⅰ,A-Ⅱ,A-Ⅲ,A-Ⅳ,B-Ⅰ,B-Ⅱなど
　　　　　キサントン類　mangiferin,isomangiferin など
　　　　　リグナン類　cis-hinokiresinol など
　　　　　タンニン類
　　　　　ビタミン類　nicotinic acid, nicotinamide, pantothenate など
　
[用　途]　薬　用（漢方薬用）
　
[薬　能]　白虎湯の重要生薬です。　漢方を学んだことのある方ならばチモは腎熱を冷ます重要生薬であるとすぐ口をついて出ることでしょう。　しかしどのようにして腎経に作用するのかと言われるとほとんどの方が古典に記載されているからと言うだけですから、これでは何もわかりません。　チモについてわかりやすい解説をして下さいというと大抵の漢方家は困るはずです。　また成分においてはチモの二次代謝産物であるサポニンやタンニンばかりが目につくので、従来の生薬学では成分と薬効との一致性をみないため解説が困難です。

　チモの主産地は中国東北部の華北省ですが、ここは平均標高が1,500mもある半砂漠状の丘状地です。　また夏期の気温は30℃を越えますが、内陸性気候もあって昼夜の気温差も30℃前後（開花期でも20℃前後）にもなり夜間は10℃以下まで気温が低下します。　またチモはスゲの仲間であることからわかるように根が浅く、温度差の大きい地表付近を好んで生育しています。　このような環境下で生育するチモ（ハナスゲ）は、標高の高い低酸素下、夜間の低温時にも適した解糖系代謝を行っていることが予想されますが、根茎は乾燥すると飴状になるほど糖分が多いことから解糖系代謝を中心に行っていることが明らかに証明されます。

　今までお話をしてきたように解糖系代謝は低温・低酸素下でメインとなる代謝経路です。　植物を観察すれば夏期ほどの暑さではないものの初夏の昼間の気温が高い時間帯ばかりに目を向けがちですが、夜間は急激に気温が低下するので、低酸素と低温が合致して解糖系代謝に有利な環境となります。　またハナスゲは夕方になると開花し、乏しい精油成分を利用して昼間植物体にこもった代謝熱を含む熱エネルギーを気化・放熱していることから、乾燥した場所で温度差の激しい環境下でも、オーバーヒートしないように過剰な熱エネルギーを気化・放熱しつつ、水分の逸脱を防いで保湿しながら代謝を維持する能力のあることがわかります。

　成分面では何と言ってもサポニン類が有名ですが、サポニンは腸管粘膜上で糖部分がはずれて解糖系代謝を促進し、急速に栄養分とともに水分吸収を促進して血液を滋潤して冷却します。　また炎症部位ではサポゲニン部分が過剰な熱エネルギーを吸熱し、自己被酸化エネルギーとして処理して活性酸素の発生を阻止します。　またタンニンなどのポリフェノール類は弱いミトコンドリア抑制作用があり、血流不全状況に合わせて弱く解糖系代謝へシフトさせる作用があるうえに糖分を大量に含有するので、全身的に解糖系代謝へシフトさせる作用が強くなり、結果的に皮膚面での代謝速度が高まってより早く熱エネルギーの気化・放熱処理が行われるようになります。

　ここでチモの配剤された白虎湯が適応する人体の熱中症について確認しておきます。　熱中症は外気温が高過ぎたり急激な運動などで起こる緊急性の排熱反応である急激な排尿・発汗などにより、皮膚に水分が供給されなくなり、皮膚が乾燥して皮膚蒸泄が止まり全身性に急速に熱エネルギーが蓄熱してゆく状態です。　このため皮膚面には大量の熱エネルギーがこもっているのに血流が乏しい酸欠状態なので皮膚蒸泄によって気化・放熱することができず、大量の熱エネルギーが体内深部へ迂回して腎臓からの排尿に集中するので腎臓がオーバーヒートして血尿を起こすこともあります。

　チモは豊富な糖分で酸欠状態で苦しむ皮下細胞の解糖系代謝を促進し、酸化水を生成しながら皮膚を滋潤して皮膚面の蒸泄機能を正常化できるので、体内深部の腎臓に集中してしまった熱エネルギーを全身の皮膚表面に分散することができるようになります。　このようにチモは腎臓に集中する熱エネルギーを全身の皮膚に分散することで腎熱を冷ますことができるものと考えられ、チモが腎経に作用するのは直接腎臓に作用するものではないと考えると内容成分的にも矛盾がありません。

　以上のように皮膚面が血流不全による酸欠で代謝が低下して蒸泄不全を起こし、皮下に気化・放熱できない代謝熱が過剰に蓄積して起こる熱性の病態（排熱のために腎臓に代謝熱が迂回・集中して起こる血尿など）に対して、チモは酸欠の皮膚面での解糖系代謝を促進することによって皮膚蒸泄を補佐し、体内深部にこもっている過剰な代謝熱を広い全身の皮膚面から気化・放熱させて全身をクールダウンさせる薬物であることがわかります。

　このように考えると、大気が乾燥しているために皮膚面も乾燥しやすい中国人の体質を考慮した中医学の処方に、何故チモが配剤されるものが多いのかについても矛盾なく説明できます。</description>
         <link>http://www.sasazuka.co.jp/10_ecological_pharmacognosy/post_34.html</link>
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                  <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">10_ecological pharmacognosy</category>
        
        
         <pubDate>Mon, 21 Nov 2011 11:01:39 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>細　辛（サイシン）</title>
         <description>[薬用部位]　Asiasarum sieboldii F.Maekawa (ウスバサイシン)
 または A.heteropoides F.Maekawa var.mandshuricum F.Maekawa （ケイリンサイシン）の根及び茎

[起　源]　サイシンの仲間は中国・朝鮮半島や日本列島など温帯から冷温帯のおおむね標高が1,000m前後の腐葉土層のある砂質土壌で保水力があって水はけの良いやや湿り気の多い土壌を好み、早春だけは日当たりが良く、夏期には樹下の日陰になってで涼しく過ごせる場所を好みます。

[成　分]　モノテルペン類（safrole,β-pinene,asarylketone,eusarvone,1,8-cineole,asrynol A,B,C,borneol,estragole ,limonen など）
　　　　　フェニルプロパン類（methyleugenol,elemicin,2,4,5-trimethoxytoluene,3,4,5-trimethoxytoluene ,kakuol など）
　　　　　リグナン類（L-asarynine,L-sesamin など）
　　　　　辛味性含N化合物類（pellitorine,N-isobutyldodecatetraenamide,2E,4E,8Z,10E-N-isobutyl-2,4,8,10-dodecatetraenamide, 2E,4E,8Z,10Z-N-isobutyl-2,4,8,10-dodecatetraenamide など）
　　　　　アルカロイド類（higenamin など）

[用　途]　薬用（漢方薬用）

[薬　能]　サイシンは皆さんでもよく耳にするはずの小青竜湯をはじめとする繁用処方にも利用される重要生薬です。

　今から20年ほど前に私も生薬としてよりも山野草として興味があったので、奥多摩などでよく探したものです。　ところがどこを探してもなかなか見つかりませんでした。　ある日、古書店で「ウスバサイシンは標高が1,000m前後以上の場所でないと見られない・・・」という記述をを目にしてからは本当の奥にある早春の奥多摩を中心に探してやっと発見し、可愛くて仕方がなかったので堀り取って持ち帰ろうとしました。　スコップを地面に当てたところ「カチーン！」と撥ね返させられたので最初は土が凍っていて凍土から生えているのかと思いましたが、よく見ると冷たい岩の割れ目のザラメ状に凍った土に根を伸ばして一生懸命に生きている姿が目に突きささり、その健気さに掘り取ることを止めた過去があります。

　とはいうもののやはり栽培してみたい気持ちには勝てず、山野草店でウスバサイシンを購入して何度か栽培しましたが、夏期の暑さにめっぽう弱く、何度も枯らせてしまいました。　当時はまだ標高による気圧変動にまで頭が回りませんでしたので止むを得なかったと反省しきりです。　生育場所の環境がザラメ状に凍った凍結土に生育していることから、他の植物よりは寒さに強く低温でも強力に代謝することはすぐにわかりました。　事実生育地でも4月頃の早春の高山はまだまだ寒く、やっとカタクリが咲き始めるほかにはあまり他の植物の花が見られないころに、カタクリよりもずっと寒い場所で地味な褐色の丸い少しグロテスクな花を咲かせます。　しかし樹下に生育することを好む下草の仲間であることからわかるように、夏期には完全な日陰で生活しています。　これは品種にもよりますが基本的に紫外線から植物体を防護するフラボノイド類に乏しいためです。

　成分面では最初methyl eugenolが多く含有されていることが私にとっては不思議でした。　チョウジをはじめとする熱帯の植物にはオイゲノール類が普遍的に含有されていて、温帯の寒い山中の早春のまだまだ寒い中で生育する植物に何故このような成分が必要なのか疑問に思ったからです。　それまでは共役二重結合が多く揮発性の高いeugenol類などは熱帯で生育する植物体にこもる熱を気化・放熱するために含有される成分であると考えていましたが、それでは説明ができません。

　そのうちおもしろいことに気がつきました。　ポリフェノール類・フラボノイド類やフェニルプロパノイド類などのフェノール性物質のフェノール性OHの状態についてです。　どうやら熱帯に生育する植物のフェノール性OHはフリーで反応性を維持していますが、温帯より寒い地域に生育する植物ほどこのフェノール性OHはメチル基またはメチレンジオキシ基や糖鎖などで塞がれて反応性が阻止されているということです。　例えば柑橘類では熱帯のミカン類はフラボノイド類のフェノール性OHはみなフリーで反応性を維持していますが、ミカン類の北限に近い日本ではウンシュウミカンのフラボノイド類フェノール性OHはメチル基や糖鎖などで、また近年ブームのシークワーシャなどに至ってはポリメトキシフラボノイドで有名になったほどすべてのフェノール性OHがメチル基で塞がれています。　さらに調べてみると、熱帯のコーヒーで有名なcaffeic acidや果物の褐変反応の元で有名なchlorogenic acidなどのフェノール性OHはみなフリーですが、温帯の植物の多くに含有されるferulic acidのフェノール性OHはひとつがメチル基でふさがれています。　このように植物たちは自身が生育する地域によって自身に必要な量の代謝熱の熱エネルギーレベルを過不足ないようにコントロールしていることがわかったのです。

　一般に活性酸素は悪玉としてだけが取り上げられますが、ホルモン作用のあることも報告されており悪者一辺倒ではなく、私見でも植物体内の過剰な熱エネルギーによるオーバーヒートで必要以上に発生する活性酸素だけを消去するために産生・含有するのが二次代謝産物であると考えられることから、植物が生育する地域の気温などから受ける熱エネルギーレベルに合わせて被酸化・重合レベルを調節し、植物体内の熱エネルギーレベルをコントロールしようとしようとしているこれらの植物の工夫には背筋に電気が走るほどの感動を受けました。

　そこで分子による熱エネルギーの運搬についてもう一度詳細を調べて考察したことから言えることは、フェノール性OHを有する化合物は被酸化・重合だけでなく、熱エネルギーを共役二重結合に保持して運搬するものと考えるべきであるという結論に達しました。　カロテノイド類などは大きな共役二重結合を有することから熱エネルギーを保持する電池として働くことは知られていますが、共役二重結合が短い化合物でも熱エネルギーのキャパシティーが少ないだけで電池には違いはありません。

　するとキャパシティーは小さくとも熱エネルギーの運搬能力はあることがわかり、早春の寒い山中で光合成も出来ない状態から芽出しとともに開花させる早春植物であるウスバサイシンは、寒さに耐えながら葉茎を広げて開花させるために大量の熱エネルギーを必要としています。　これをサポートするのに好都合なのが、分子内が大きく共役二重結合となっているメチルオイゲノールやオイカルボンなどの成分です。　サイシンはこれらの成分にに太陽光線の熱エネルギーを吸熱させ、各組織へ分配すれば熱エネルギーが利用できるということです。　フリーのOHもないことからこれらの分子は吸熱しても重合の反応性は低く、安定した熱エネルギーのキャリアになるということです。　そして熱エネルギーを効率的に吸熱させるには共役二重結合を直接活性化させる紫外線が必要だということに気がつき、ふと標高の高い山中という環境を考えてみたのです。　1,000m以上の山中ともなれば、地上に比べて2割ほど紫外線が強いのです。

　これで標高の高い山中を好む植物の理由がわかりました。　サイシンは過剰な紫外線エネルギーを保温エネルギーに転換して利用し、生育しているということです。　またこのような場所では気圧も900hPaを切る低気圧であることから植物体全体に負圧がかかることになり、植物のシュート先端まで水分や栄養分を持ち上げて運搬・補給する根圧を補助し、負の大気圧で引き上げて配分・補給する能力を補佐できます。

　ウスバサイシンは低酸素・低温の寒い早春の山中で、太陽光線から熱エネルギー（主として紫外線から）を受けた分子による保温効果で代謝温度を維持し、低酸素・低温環境下での早い代謝速度を得意とする解糖系代謝を促進して芽出しとともに硬く冷たい土壌を打ち破って茎葉を広げ、一気に開花しています。　また草丈も低く、根も浅い根生葉である葉茎・花茎とも根茎のほぼ1点から出しています。　冷たい土壌に包まれている根茎の内部1点に代謝熱が集中していますが、揮発性精油成分に代謝熱を載せて気化・放熱して活性酸素の発生を防いでいます。　さらに芽出しと同時に開花することから半開きの葉による光合成だけではエネルギー不足となることが明らかであり、ミトコンドリアからも電位差をかせいでATPを産生させるためにアルカロイドであるhigenaminや疑似アルカロイドともいえる辛味成分である数種類の含N脂肪酸誘導体類のpellitorin類縁物質などを含有しています。

　近年Aristorochic acidによる腎障害が有名になっていますが、これは地上部にしかなく、古来サイシンは根茎及び根を使用することになっていて問題はないはずですが、品質の悪い刻み生薬の中には量を増やして儲けを出すためによくみると茎葉が混入していることがあり注意が必要です。　Aristorochic acidは天然化合物にはめずらしいニトロ基を有する大きな共役二重結合を持つ芳香族化合物ですので、サイシンにとってこの物質は早春の寒い時期に強力な吸熱・保温物質となり、「カイロ」のようなものとなって植物体の地上部（地下部には存在しない）を保温して代謝を助けています。　ただし逆に保温効果が強いので、排泄のために全身からAristorochic acidの集中する腎臓に炎症を起こしてしまいますが、これが腎障害の本態です。

　以上を総合的に考慮すると、サイシンは酸欠で乏しい代謝を続けている表面的で浅い冷たい組織があり、冷たく硬化して血流も乏しくなって低酸素・低温でいる組織で密閉されているために代謝熱のはけ口がない状況下で、周囲の冷たく硬化した組織に熱エネルギーを付与して軟化させ、さらにその低下した組織の代謝を活性化して内部にこもった代謝熱や老廃物などを血流に乗せて運搬排出させることを補助することが本分であると考えられます。　早春の寒い山中で低温・低酸素下でザクザクと半分凍った土壌に密閉されたウスバサイシンの根や根茎が、目覚めて活発となった代謝熱を上方（地上部の茎葉）へ運搬・気化・放熱を行っていることはこれらの解釈と矛盾がありません。

　冷たく機能低下した浅い組織の代謝を補佐する点ではカンキョウに似ていますが、カンキョウは冷たく乾いて硬化した組織層に下方から熱エネルギーを運搬・浸透させてこの冷たい層を温め、軟化させて正常化させるのに対して、サイシンは同じ冷たく硬化した組織層でも極めて表面的で水分含量が多く、冷たく湿った皮膚の下にこもった代謝熱を皮膚表面まで引き出して放熱させる能力のあることがわかり、カンキョウよりも作用する組織の含水量の違が多く、より低酸素で冷えた表面的な組織下部に停滞した代謝熱を気化・放熱させる作用をするのがサイシンであることがわかります。
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         <pubDate>Tue, 20 Sep 2011 15:13:51 +0900</pubDate>
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         <title>黄　耆（オウギ）</title>
         <description>[薬用部位]　Astragalus menbranaceus Bunge または A.mongholicus Bunge の根
　
[起　源]　中国西北部及び東北部、朝鮮半島、モンゴル高原などに生育するマメ科植物で日本には自生していません。　この生薬の原植物は元来標高1,000m以上の高山植物のものが多く、旺盛な分枝の様子や多数の着花性をみると、低温・低酸素に耐えて生育するというよりもむしろ低温・低酸素を好んで生育しています。　江戸時代には加賀黄耆や立山黄耆と呼ばれたイワオウギ属のイワオウギ（Hedysarum vicioides Turcz. subsp. japonicum：中国では今日でも紅耆として利用しています。）などが山採り品（綿黄耆）として昭和初期頃まで流通していましたが、現在ではほぼ100%が中国からの輸入品で、属の異なるAstragalus membranaceus Bnnge（キバナオウギ）またはA.mongholicus Bunge（ナイモウオウギ）が主流となっています。　これらは高山植物としては比較的大型で50~80㎝にもなるマメ科の多年生植物です。　岩場の割れ目などにねじ込むように根を伸ばして張る性質があるので、繊維質の強い根（特に根頭部）は強くねじれたようになっていることが多いようです。　

[成　分]　フラボノイド類（astraisoflavan,astraisoflavan glucoside,astrapterocarpan,rhamnetin glucoside,rhamnecitirin glucoside,quercetin glucosideなど）
　　　　　　トリテルペノイド類（astragaloside Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳなど）
　　　　　　脂肪酸類（linolic acid,linoleic acidなど）
　　　　　　その他（choline,bataine,folic acidなど）

[用　途]　食用（薬膳料理など）、薬用（漢方薬用）

[薬　能]　冷涼な場所を好み、根が深く伸びるために栽培する場合には土壌が深く表土は水はけの良い乾燥気味の砂質土壌で地下水位が低いことが必須です。　栽培時には根を大きく太くするために腐植土や肥料を大量に使用しますが、基本的には自生地の標高の多くが1,000~1,500m前後の山岳地域ですので、土壌の栄養分が乏しい場所で低温・低酸素下での代謝を行っています。　「宮廷女官　チャングムの誓い」で栽培の難しいオウギを苦労の末にチャングムが栽培に成功したシーンがありましたが、実はオウギは高山植物なので普通の雑草とみなされがちな身近なマメ科植物とは代謝が全く異なります。　平地で栽培がうまくいかない最大の原因は気温と気圧です。　平地では酸素分圧が高く、気温も高いことから代謝反応性が高くなりやすいので酸化されてしまうので枯死するものと考えられます。

　少し中国通になった方ですとご存じかも知れませんが、中国では韓国でニンジンが異常に珍重されるようにオウギが非常に珍重されます。　これは中国では高価なニンジンの薬効は安価なオウギでも代用が可能であると古くから言われているためであるとされています。　このため観光人向けでなく地元民向けの薬膳料理店に行くと、オウギが入ったメニューが数多くあります。

　オウギの仲間は皆高山植物であることからもわかるように、低温・低酸素下を好むことはもちろんですが、一般に岩場の割れ目などで乏しい土壌を求めて根を長く力強くねじ込んで伸ばし、水分・栄養分を1m以上も吸い上げるので、根は繊維質の豊富な丈夫な根で多くの根は根頭部がねじれてできています。　加賀黄耆、立山黄耆などでは長い根を折ると他の植物に比べて繊維が発達して多く、標高の高い低温・低酸素に加えて少水分・少栄養分でも根を伸ばしてゆく極めて強力な代謝能力を有しています。

　成分面でみるとマメ科の特徴であるイソフラボノイドやイソプレニルフラボノイド類が大変多く、これらが易酸化性や重合エネルギーとして比較的低レベルな熱エネルギーを消去し、活性酸素の発生を阻止しています。　またastragaloside類などのトリテルペノイド類は3,5,16位に二級アルコールを有しているので、中等度に強い活性酸素で酸化されてケトン基になると急速に分子に熱エネルギーを吸熱して活性化します。　やがて熱エネルギーの満ちたケトン基はα-位のプロトンを活性化、放出して植物体自身の酸化を防止し、3,5,16位それぞれの位置から共役二重結合の「ドミノ倒し伸延」（リーベルマン反応）を起こします。　リーベルマン反応は隣り合った各環の炭素上に最低でもプロトンが1個以上なければドミノ反応が進行しませんが、astragaloside類では9,10位に炭素ブリッジ（スピロ環）があり、13,14位にもメチル基があってプロトンがないので、これが共役二重結合のドミノ伸延反応のアンカーストッパーとなっています。　このためA,B,D環でのドミノ反応による共役二重結合の伸延はそれぞれ各環内でストップしてそれ以上伸延しません。

　これはエネルギー的にみると、リーベルマン反応による共役二重結合の伸延が大きくなって吸熱量が多くなり過ぎると、厳しい生活環境で行っている乏しいエネルギーそのものまで奪ってしまい、自身の代謝に深刻な影響を及ぼすので「火事を起こさないようにするにはボヤまでの状態で徹底的に処理する！」という乏しいエネルギー事情に配慮した極めて秀逸でバランスのとれた活性酸素消去作用を有していることになり、植物たちの賢さには驚かされます。

　一方土壌学においては、まず岩石だらけのガレ場が風雨に曝されて細かい粒子になると、無機質であるミネラル類を酸化・還元してエネルギーを得る微生物たちによって利用され、その死骸である有機物が積もるとこれを利用して様々な微生物が増えて土壌が肥え、やがてミミズやモグラをはじめとする小動物や昆虫なども棲めるようになって多くの樹木や草類が生育可能な豊かな土壌になっていきます。　高山植物であるオウギはこのような土壌生成課程の前半に相当する岩場の土自体に乏しい場所で生育しています。　モンゴル高原などでも樹木が育つほどの厚さの腐植土層がなく、樹木はもちろん低灌木さえ生育できないほど痩せた土壌でも一面の草原を成すほどの強力な代謝能力を有しています。　これらのことからオウギは日当たりさえ良ければ生育することから、乏しいながらも代謝に必要な最低限の熱エネルギーさえあれば、低温・低酸素・貧栄養分・貧水分でも代謝を持続する能力の高いことがわかります。

　以上を考慮すると、オウギは皮膚表面の血流が乏しいために、皮膚面には冷えがあり、酸欠で代謝不全があるので肌に張りがなく、色彩も悪く、目をこらして見れば皮膚の肌理もあれていることが考えられるような状態（証）に適応するするものと考えられます。　オウギはこのような状態のときに皮下深部から水分や栄養分を引き出して皮膚表面近傍の代謝を活性化することで皮膚の蒸泄機能を回復させ、体内深部の内臓などにこもった代謝熱を気化・放熱させて炎症を取り除きます。

　実際の漢方薬の運用上においては、桂枝加黄耆湯や黄耆建中湯などケイシが同時に配剤される処方では、ケイシが皮膚表面への血流を多く回し、オウギはこれを利用して皮膚の代謝機能を活性化し、蒸泄機能の正常化によって体内深部に停滞した代謝熱を体表まで運搬して気化・放熱させて消炎効果を発揮します（貧血等がなく体表へ血液を回す余裕のある場合）。　またケイシの入らない防已黄耆湯や補中益気湯ではオウギは代謝能力を体内深部から体表まで運搬して体表の蒸泄機能を活性化し、体内深部など各所に停滞した代謝熱を気化・放熱することで炎症を冷ましています。　さらに貧血が加わると十全大補湯などのように増血と水分・栄養分補給のための四物湯とブクリョウ・ニンジンなどで脈管を潤し、強化された代謝能力をケイシで体表に多く運搬してオウギが皮下細胞の代謝を活性化することで蒸泄機能を正常化し、体内深部の代謝熱を気化・放熱することで炎症を冷ましています（人参養栄湯はこれより水毒傾向が強い）。
　

　

　

　

　

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         <pubDate>Fri, 09 Sep 2011 11:31:52 +0900</pubDate>
      </item>
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         <title>沢　瀉（タクシャ）</title>
         <description>[薬用部位]　Alisma orientale Juzepezuk の周皮を除いた塊茎

[起　源]　アジア東部（朝鮮半島・日本など）からシベリア南部までの沼沢地や浅瀬の水中などに生育する多年生草本で、50~100㎝とやや大型の植物で、夏期には3枚の白い花弁を多数つける総状花序を開花させます。　

[成　分]　トリテルペノイド類（alisol A,B,C,alisolA monoacetate,B monoacetate,C monoacetateなど）
　　　　　アルカロイド類（nupharamine,nupharadineなど）
　　　　　脂肪酸類（palmitic acid, stearic acd,oleic acid,linolic acid,linoleic acidなど）
　　　　　ステロール類（phytosterol類）

[用　途]　薬用（漢方薬用）

[薬　能]　この生薬は大変問題の多い生薬で、私自身この生薬について調べた結果として漢方を古典の解釈のみで研鑽するには限界があると感じ、違うアプローチで生薬から学び直す必要性を感じて原点回帰への必要性を感じた結果、植物を生薬として選抜した古人の目線に立って考察し直して「生態生薬学」の立ち上げる決心に至った生薬です。

　オモダカを御存じでしょうか？　日本では毛利元就をはじめ武家の家紋としても知られる「オモダカ」ですが、これには理由があります。　オモダカは先端に槍のように尖った大きな葉を3枚有する50cm以上もあるしっかりとしたシュートを垂直に多数立ち上げます。　これを離れた場所から見ると、まるで槍や旗を多数掲げて決起しているように見えるために、古来から武家に縁起がよいとされて「勝ち草」の別名まであり、武家の家紋として珍重されるようになった経緯があります。　オモダカの名は花茎が長く、上方へ突き出ている（面高：オモダカ）ことによります。　薬用となるのはこの葉がギボウシのように幅広く先端がサジ状になてるサジオモダカで、日本では主として本州中部から東北・北海道などやや冷涼な地域に生育しています。

　植物学的にはアジア東部では淡水の沼沢地にしかないサジオモダカの学名に「海」があることが古来より謎とされてきましたが、傷寒論研究の世界的権威　長沢元夫先生によると、ギリシャに生育するオモダカの仲間は海岸近くの沼沢地に多く見られることから、ギリシャではオモダカと海の関連性には何ら疑問がなく、ラテン語のハリス（海に由来）が学名に使用されることは自然であるそうです。　またヨーロッパでは広く1,500mまでの沼沢地に生育していますが、日本でも東日本や中低層湿原などの低温を好むサジオモダカが西日本に生育するのは縁起物として珍重された過去の栽培品が逸脱したものではないかとされています（オモダカ類は大変変異の多い植物で分類や学名が何度も変わった経緯があり、あまり深く掘り下げると生薬タクシャから論点がずれるので生薬として使用されるサジオモダカ：Alisma orientale に論点を絞って進めます）。

　タクシャは古典でも薬能や配剤理由が単独でははっきりしない生薬で、利尿作用があり、胃内停水・口渇やめまいに使用するものとされていますが、これらはほとんどが古典の記載をそのまま信用して使用していることが実態です。　水毒があってめまいがする場合に適応するのがタクシャであるとされることが多いのですが、そもそも本草書の元祖である「神農本草経」にはめまいに対する記載がなく、これを土台として作成されたはずの「金匱要略」には沢瀉湯のところで「冒眩」が出てくることが謎となっていますが、これはまたタクシャがめまいに効果があるとされる理由のひとつにもなっています。　しかしながらその割合にはめまいに使用する処方のファーストチョイスは苓桂朮甘湯でタクシャは配剤されません。

　長沢元夫先生は「漢方薬物学」の中で実に多くの資料に目を通され、「冒」の字のルーツに遡ってまでタクシャについて詳述されています。　この御苦労には大変頭が下がる思いですが、同時に大きな疑問も生じてきました。　交通網も未発達で、書体はもちろん、書物自体普及していなかった当時の中国で、地域によって言葉も文字も発展途上で異なることも考慮すると、このような解析方法が正しいのか確定する方法がないということです。　また漢方をこのような手法でなければ解釈できないものであるとすれば、漢方は高価で難解なうえに母国語でない古典を解釈できるごく一部の「マニアのマニアによるマニアのための漢方」でしかなく、広く大衆に普及させるべきユニバーサルな医学ではないと思うようになりました。

　当時の古人たちが漢方医学を書物に残したのは普及させたかったからに違いありません。　またテレビ・ラジオはもちろん学ぶべき書物も満足になかった当時のことを考えると、植物を観察することが唯一真の解釈方法であったに違いなく、学生時代にハンゲ（カラスビシャク）が火傷しそうなほど熱い直射日光下の地面で煮えずに元気に生育していることを思い出し、これをきっかけとして「生態生薬学」を立ち上げようという決意を心に誓いました。

　そこで生態生薬学流に改めてタクシャを観察してみると、基本的に標高の高い冷たい水中を好むことから、低温・低酸素環境を好むことがわかります。　また適度な低温でさえあれば平地でも生育可能であることもわかります。　また直径5cmほどしかない丸い塊茎を包み込むようにつけた長い葉柄の先端に広い葉をつけたシュートを多数立ち上げることから、これらは根生葉とみなすこともできます。　一般に水中の植物は茎以下の根などが水中に漬かったままのために呼吸ができません。　そこで洪水などでも水中に没しない長い茎を有し、葉の付け根には必ず葉柄の中を貫通する通気孔があり、この通気孔を通して呼吸を行っています（マスフロー）。　また動植物は一般に分子状の酸素をそのまま利用することができませんので、マスフローを行う植物は葉柄の付け根で無機態の酸素を有機態の酸素に変換するときに発生する活性酸素を消去するためにポリフェノール類を含有しています（ハスなどでは食用となる根茎に比べて節の部分ではフェルラ酸が数百倍多く含有されています）。　また通常植物はニンジンなどのように周囲のシュートの葉の栄養分を中心となる花茎に集中させて子孫を残そうとしますが、タクシャなどの水中植物では呼吸することに重点を置いているので、むしろ花茎は細くて周囲の葉のシュートに栄養分を集中させて次々と葉を出すことにエネルギーを多く分配しています。

　成分面でみると、活性酸素を消去できるように被酸化能力の高いα-トリオール、エポキシド、共役ジエンなどの活性酸素トラップ構造を有するトリテルペノイドやカップリングエネルギーとして活性酸素を消去するポリフェノール類を含有していて、何段階もの酸化力に応じた被酸化能力を有する成分によって厳しく酸化還元電位をコントロールしていることがわかります。　また植物体の大きさの割合に葉面積が狭く、光合成によるエネルギー供給能力の不足が明らかなことから、アルカロイドも含有してエネルギーを補填しています。

　以上のことから、タクシャとは低温・低酸素下でも根や塊茎に酸素を送り込み、活性酸素の発生を抑制しながら根や塊茎の代謝を促進し、水分・栄養分や代謝能力を、通常子孫を残すべき中心となる花茎よりも、むしろ呼吸に必要な周囲の葉柄へ送り込んで次々と丈夫な茎葉を有するシュートを立ち上げようとする習性がわかります。

　これを適応する人体に例えると、まず低温・低酸素状態になると、酸素の供給順序が遅くミトコンドリアの多い腎臓は急激に機能が低下します。　すると血液をろ過してその99%以上を再吸収し、全身へ公園の噴水のように水分と栄養分を送付する腎臓の機能は低下します。　結果として腎臓の機能低下によって重力の法則通りに頭部（耳内三半器官や口腔粘膜など）から上半身に水分・栄養分が届かなくなるので、耳鳴り・めまいや口渇などが起こります。　このような場合にタクシャは活性酸素を発生させないようにしながら腎臓に酸素を引き込んで機能を正常化し、水分や栄養分を上半身への送付を正常化することによって耳鳴り・めまいや口渇などを改善します。　また血流不全によって生じる低温・低酸素による腎機能低下を正常化できるので当然利尿作用があります。

　五苓散・沢瀉湯や茯苓沢瀉湯などにタクシャが配剤される理由は、腎臓に酸素を送って腎機能を正常化し、全身（特に上半身）へ水分や栄養分を配分させるためです。</description>
         <link>http://www.sasazuka.co.jp/10_ecological_pharmacognosy/post_76.html</link>
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         <pubDate>Mon, 29 Aug 2011 10:38:41 +0900</pubDate>
      </item>
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         <title>厚　朴（コウボク）</title>
         <description>[薬用部位]　Magnola obovata Thunberg , M.officinalis Rehder et Wilson または M.officinalis Rehder et Wilson var.biloba Rehder et Wilson の樹皮

[起　源]　中国、朝鮮半島、日本、樺太、アムール地方など温帯から冷温帯までの1,000m以下の山地の沢沿いなどに生育する落葉性高木で、樹高30mにもなります。

[成　分]　フェニルプロパノイド（dimer）類　honokiol,magnolol,isomagnolol,tetrahydromagnolol、magnaldehyde A,magnaldehyde Bなど
　　　　　セスキテルペン類　α-eudesmol,β-eudesmol,γ-eudesmol,machilolなど
　　　　　アルカロイド類　magnocurarineなど

[用　途]　木工品（家具・工芸品・下駄・ピアノ鍵盤・刀剣鞘など）、食用（地域伝統食：朴葉味噌、朴葉寿司など）、漢方薬用

[薬　能]
　マグノリア属の植物には様々な種類があり大半は東南アジアと北米南部から中米にかけて生育してます。　その中で薬用とされるのは日本薬局方の中でマグノロールを樹皮に0.8%以上含有するものと規定されています。

　マグノリア属を観察すると成分と生態と気候の関連性がよくわかります。　北米から中米にかけてのやや寒い山中に分布するマグノリア属のタイサンボクは温帯のホウノキに比べると、光沢のあるツバキの葉のように葉面のクチクラ層が発達して精油成分による過冷却を防ぐために植物全体としての密閉性が高く保温性が感じられ、温帯以南に生育するマグノリア属のホウノキなどは旺盛な代謝能力や代謝熱をシュート末端に集中させているために気化・放熱の重要性からクチクラ層が薄く、光沢があまりないことがわかります。　周皮が緻密で密閉性の高いタイサンボクはマグノリア属の中でも特に香気性の高い大きな花冠をシュート末端ごとにつけ、樹幹にこもりがちな代謝熱をシュート末端まで運搬して芳香性の高い精油成分によって気化・放熱させています。

　温帯のホウノキは山地の沢沿いに多く生育し、空中湿度の高いことが生育の必須条件です。　私自身自宅マンションの屋上で何度もホウノキを栽培しましたが、風が強く、直射日光で空中湿度のない屋上では葉がすぐに縁から枯れ始めて落葉し、枯死してしまいます。　これはホウノキの旺盛な代謝能力（水分蒸散能力）を維持するためには、空中から植物体内の脈管内まで水分子が途切れなく続く必要性があるためで、同じマグノリア属でもホウノキの生育には適度の空中湿度が必須です。　これはホウノキの大きな葉面にタイサンボクのような光沢がなく、クチクラ層が未発達で水分を大量に失いやすい（水分の気化・蒸散能力が高い）ことや、空中湿度の高い沢沿いを好むことともよく一致します。

　森へ行くとホウノキには見つけやすい特徴があります。　森では樹冠といって温帯以南では森の木のてっぺんの高さが絨毯のようにそろっているのですが、ホウノキは他の樹木より代謝能力が旺盛で突出してひときわ高く枝を張って広げ、太陽光線を多く受光しようとするために背を高くする性質がありますので、沢沿いで背の高い樹木を見ると比較的簡単にホウノキを見つけることができます。　これはホウノキが進化程度の低いモクレン科に属するために光合成能力が低いので、大きな葉の面積で光合成能力の低さを補っているうえにさらに日差しを求めた結果です。　平地でボタン・シャクヤクやフジが咲く頃に山へ登ると、他の樹木より一段と高い所に直径が10～20cmもある真っ白い大きな花をたくさんつけたホウノキを見ることができます。　ホウノキは進化程度が低いので、白い花弁とがくの区別がはっきりしません。　植物学的には最外側に3枚のがくと、内側に9～12枚の花弁を有することになっていますが、ばらつきがあって進化の途中の暗中模索状態と思われます。

　またホウノキはシュート末端に近い若い枝では樹脂の分泌が多く、枝には光沢があって少しベタつく傾向があります。　院生時代に母校大学に車で通っていた頃、夏期に車が熱くならないように駐車場のマグノリアの樹下となる日陰に駐車しておいたところ、帰りに樹脂で車がベタベタになっていて落とすのに苦労したことを思い出します。　ホウノキの大きく多数ある花弁は白く、太陽光線を全反射するためにシュート末端の代謝熱を水分の気化熱（水分子の気化熱エネルギーは大変大きい）として気化・放熱するには山地の低温と高湿度下では気化熱エネルギー不足で放熱することができません。　そこで花冠自身の揮発性の高い芳香性精油成分の揮発能力に頼るところが大きいのですが、芳香性にも乏しくシュート末端には代謝熱がこもりやすいためにシュート末端に近い若い枝の樹皮から熱を持った樹脂ごと分泌して排熱しているために上記のような現象が起こるものと思われます。

　これらのことからわかることは、高い樹高のシュート末端には日当たりが良く日中日の当たる時間帯は常に代謝能力が旺盛で、代謝熱や代謝成分が多いことと、対極にある根の部分は沢沿いの腐葉土質の深く冷たい水分の多い土壌に漬かったままであるということです。　このような環境下で旺盛な代謝能力を発揮して高い樹高に素早く到達し、高い代謝能力を維持していることから次のようなことが考えられます。

　高い樹木の上部には強い日差しによる高い代謝能力から代謝熱がこもりやすく、これを下方から冷たい水分を引き揚げて葉面から気化・放熱して冷却し、シュート末端に近いまだ若い枝では過剰な熱エネルギーを保持した樹脂（フェニルプロパノイド）ごと樹皮から排熱します。　また樹木上部の代謝熱と代謝能力は樹幹を通じて下方へも運搬され、湿って冷たい根の代謝を活性化して温め、漢方でいうところの「上熱下寒」を中和して代謝を正常化しています。

　成分面で考えると、上方のシュート末端では揮発性の高いセスキテルペンの気化熱として代謝熱のごく一部を気化・放熱し、樹木上方や樹幹に大量に停滞している代謝熱エネルギーはフェニルプロパノイド二量体の全面にかかる大きな共役二重結合にたっぷり吸熱し、一部は分子ごと樹皮などから分泌するように排熱し、下方へ運搬して根の代謝エネルギーとして利用して冷えた根を温めます。

　漢方においては、コウボクが成長が早く、樹高も高く、葉の面積も通常の植物の何倍もあり、花冠も大きいことや湿った場所を好むことから、人体では全身的にまず代謝レベル自体が高く、その過剰な熱エネルギーが上半身（特に頭部）にこもって偏在し下半身（特に足部）が冷えている場合に、その熱と冷えの偏在を「かき混ぜる」ように上半身と下半身で中和するように正常化することが本分と考えられます。

　したがってコウボクの適応症では基礎代謝が旺盛で上半身に熱の偏在があることや、湿った環境を好むことから水分過剰の「やや水毒気味」であることが正面の証であると考えられ、貧血や体に水分の不足している四物湯や十全大補湯など地黄の証には向かないことがわかり、事実地黄主剤の処方にはコウボクは配剤されていませんのでいわゆる虚証タイプには向きません。</description>
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         <pubDate>Tue, 23 Aug 2011 15:42:30 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>地　黄（ジオウ）</title>
         <description>[薬用部位]　Rehmania glutinosa LIbosch.var.purpurea（アカヤジオウ）及びRehmania glutinosa Libosh.F. hueichingensis Hsiao（カイケイジオウ）の根 

[起　源]　モンゴル（原産地とされる）、中国全土、韓国、北朝鮮など東アジアの乾燥した地域では比較的ポピュラーな草丈10~30㎝でタンポポのようにロゼッタ状に丸く毛で覆われた根生葉を多数つける小さなゴマノハグサ科の多年生植物です。　初夏には淡褐色とオレンジ色の中間色のような地味な唇形花弁を下方向けに数個～十数個つけた花茎を数本立ち上げます。　日本でも古くから栽培され、アカヤジオウ（オサヒメ）のほかシロヤジオウ（R.glutinosa var.lutea Makino）も奈良県（地黄町という町名で残っています）などで栽培された記録が残っています。　根が細く小さいために収量が少なく、時代とともに需要に供給が追い付かなくなってきたために中国の河南省懐慶村付近で品種改良がおこなわれ、根が太くて大きいカイケイジオウ（30~40㎝になる）が産出されるようになり、武田薬品工業によってアカヤジオウとカイケイジオウの交配種も作出されて一部に利用されていますが、今日では収量が安定しているので流通するジオウの大半がカイケイジオウとなっています。

[成　分]　イリドイド類（catalpol, rehmannioside A,B,C,D,leonuride,aucubin,melittoside）
　　　　　ヨノン類（rehmaionoside A,B,C）
　　　　　フェニルプロパン類（acteoside）
　　　　　ステロール類（β-sitosterol,stigmasterol,campesterol）
　　　　　糖類（mannitol,stachyose,raffinose,glucose,sucrose）
　　　　　アミノ酸類（arginine,γ-aminobutylic acid(=GABA)）
　　　　　その他（cerebroside）

[用　途]　薬用（漢方薬用）

[薬　能]　皆さんはジオウをご覧になったことがあるでしょうか？　ほんの10~20年前までは中国の北京や上海街中でも地面が露出している場所が多く、家と地面の境目・塀と地面の境目や屋根の瓦の隙間などに可愛らしく顔を出している「中国のタンポポ」とでも言えるほどどこにでもあるポピュラーな植物でした。　近年都市化による舗装などによって都市部では地面の露出した場所がなくなりつつあるので、急速にジオウが激減しているという話を耳にします。　そのうち舗装の割れ目から「根性シオウ」があちらこちらに見られるようになることを期待して止みません。

　話がそれましたが、ジオウはそれくらい乾燥した大陸ではどこにでも生育する植物です。　逆に湿度が高く降雨量の多い日本では栽培が難しく家庭で栽培するくらいなら日本中どこでも可能ですが、商業的栽培は北海道（新得付近が有名）など乾燥して降雨量の少ない場所であることが必須です。　ジオウはモンゴル高原付近が原産地とされていますが、モンゴル高原付近は標高1,000m前後（約900hPa）とかなりの低酸素環境下です。　さらに乾燥している上に大陸性気候（夏期は30℃以上、冬期には-10℃前後）であることを考慮すると、乾燥して低酸素環境下である上に温度変動の激しい状態に耐えて代謝を行う能力のあることがわかります。　ところがさきほど中国の沿岸部でも見られることをお話したことからもわかるように、酸素濃度については低濃度から高濃度まで適応するフレキシビリティの高さを有しています。　もうひとつ注意しなければならないのはジオウは風が嫌いであるということです。　これは植物体全体が毛で覆われていることや家や塀沿い、屋根の瓦の隙間など風の当たらない場所を好むことからわかります。　成分面でみても揮発性の精油成分に乏しく、植物体内にこもった過剰な熱エネルギーは主として易酸化性の高いイリドイド類による被酸化エネルギーとして処理しています。　

　もうひとつ特筆すべき特徴があります。　今から5~6年ほど前だったと思いますが、ふと「植物たちは暑い夏期を一体どのように過ごしているのだろう？」という疑問が湧いてきたことがあります。　そこである真夏の酷暑の日（36~37℃くらいあったはずです）に小平市にある東京都薬用植物園に行き、ハーブ類は気化熱によって冷却されるので冷たいだろうという自信に満ちた期待を持って、すべての植物の葉をさわってみたのです。　当然多くの植物が生温かいのですが、残念ながらハーブ類も同じように生温かく、気化熱を大量に放熱するので冷たいだろうという甘い期待は完全に打ち崩されました。　そんな中炎天下の畑に植えられているジオウの葉をさわってみて驚いたのです。　「冷たい！」　大半の他の植物の葉が生温かい中で明らかに炎天下でも「冷たい」のです。　あまりに感動した私は観察指導員の方に話してみたところ「初めて知って驚いた。これからは皆さんにもさわってもらうことにします。」と言われてうれしくなりました。　ジオウについてこのような性質があることは私が調べた限りないのでおそらく知られていないのではないかと思います。

　問題はこれからです。　ジオウは世間でいうところのハーブ類と異なり精油成分に極めて乏しく、気化熱として精油を気化させて放熱させることができません。　もし水分を蒸散させて冷却しているのであれば、強力な冷却作用を現すためには葉の裏面もその下の土も濡れているはずですが、葉の裏面も下の土もカラカラに乾いているのでそれも考えられません。

　ジオウは一体どのようにして自身を冷却しているのだろうとしばらく悩みました。　そんな時思い出したのが日本生薬学会で発表されたジオウは他の植物の10~20倍もの塩基性アミノ酸（アルギニン、リジン等）を含有するということです。　その当時は意味も分からず聞き流していましたが、アルカロイドがミトコンドリアの膜間に作用して電位差を生み、停滞しているプロトンを引き出してATPを産生するということを考慮すると、何も塩基性物質であるならばアルカロイドであるべき必要はありません。　塩基性さえ示すのであれば塩基性アミノ酸でもよいわけです。

　さらに考えてみればこれは水の生成反応です。　ジオウは日差しが強く熱い地面で閾値を越えた過剰な太陽光線で光合成を強いられている訳ですから、葉面内の葉緑素やミトコンドリア内はプロトンであふれ、アシドーシスになっていると思われます。　この時アルカロイドでなくとも塩基性アミノ酸など塩基性を示す物質があれば、プロトンを引き出し酸素と反応させて水分子を生成することができます。　まだ証明はされていませんが、おそらく強い太陽光線のもとこのようなメカニズムでアシドーシスの改善と水分子の産生による保湿・冷却を行なっているのではないでしょうか？　もちろん太陽光線が強過ぎれば光呼吸（水を電気分解する光合成の逆転回路による水分子生成）も考えられなくはありませんが、私が確認した限り他の植物の葉はむしろ温かかったので、ジオウだけに存在するメカニズムを考えると塩基性アミノ酸によるアシドーシスの中和で生成する水分子生成による冷却システムが一番合理的ではないでしょうか？

　以上のことからジオウはアルカロイドの代用として塩基性アミノ酸（もしかすると未詳のアルカロイドも関与？）を大量に有することでミトコンドリアからエネルギーと保水すべき水分を補給し、これを循環させて冷却を行っていると考えられるのです。　ジオウが血熱を冷まして滋潤するという口訣は現代科学的にも正しいことがわかります。　蛇足ながらこれは天門冬（Asparagus cochinchinensis）が何故大量のアスパラギン（塩基性物質：アスパラギン酸アミド）を含有するのかの解釈につながり、はっきりした解説の少ない天門冬の薬能の解釈を行うことができます。

　成分面では生地黄（鮮地黄）に大量に含有されているcatalpol類が加熱乾燥されて乾地黄になると急激に減少する（1/10前後）ことが知られていて、これをさらに酒で蒸して乾燥した熟地黄になるとさらにcatalpol類は減少します。　したがって日本で使用されている大半の地黄を占める熟地黄にはほとんどcatalpolが含有されないことになりますので、生地黄（鮮地黄）の使用が指定されている炙甘草湯・防已地黄湯・百合地黄湯を除けば、地黄の薬効にcatalpol類はほとんど関与しないものと思われます。　この薬効はcatalpol類の易酸化性によるもので、この易酸化性によって植物体内の過剰な熱エネルギーを消費して活性酸素の発生を防ぎ、安定した代謝環境を維持しています。　また生地黄（鮮地黄）を乾燥した乾地黄の使用を指定した処方も「傷寒論・金匱要略」中に１０処方弱ありますが、これには被酸化反応性の高いcatalpol類が残存していることから、これらが炎症部位近傍で速やかに活性酸素の消去を行い、正常な代謝を回復させるものと考えられます。

　ジオウは植物体そのものが小さく根も浅いうえに乾燥した大陸性気候下（気温が不安定）を好み、海抜数十mの地上から1,000m前後の低酸素域まで生育が可能なことと、根が受ける温度差（日較差・年較差）が大変大きいことがわかり、酸素や温度の変化量が大きい不安定な環境下でも安定な代謝を維持する能力を有することがわかります。

　このことから人体においては、皮膚など表面的な部分が血流不全などで体表面温度の上下差が大きく、酸素分圧も不安定なために乾燥などを起こしても、これを克服して代謝を持続させる能力のあることがわかります。　したがって体表面にペタッとした枯燥感や乾燥感があり、他人と違って寒がったり、暑がったりする方は皮膚面の代謝がうまく行われていない証拠なので、ジオウの証と判断するべきと思われます。

　　ただし柴胡証の往来寒熱との違いを明確にする必要があります。　柴胡証では基本ベースに胃腸の消化・吸収機能の低下があります。　このため体表面まで血流に乗せた酸素・栄養分・水分・代謝熱などの運搬能力に持続性がなくなって間歇的になるために、体表面まで血流が届いている時点では皮膚面の代謝ができるので発汗も蒸泄もできますが、血流補給能力に持続性が足りないために皮膚面に水分が残って気化熱を奪うので、悪寒がするために往来寒熱が起こります。

　しかしジオウの証では脈管内の水分や栄養分などが基本的に不足して脈管外へのリンパ液の漏出・補給ができない状態ですので、発汗性は基本的に考えられず皮膚面の枯燥感や乾燥感が強いことがわかります。　したがって血液は脈管中にばかり集中分布して血管が盛り上がることになるので、ジオウの証として有名な「皮膚に枯燥感があって血管が浮き出ている。」という口訣は正しいことになります。

　実際の処方においては、基礎代謝能力そのものが低下していてに酸化水が生成できずに血液が煮詰まって血液中に熱がこもっている状態のときに、熱によって発生しかかっている活性酸素の発生をイリドイド類が消去し、アシドーシスのミトコンドリアに作用してATP産生と水分産生をすることによって血液中の熱を冷まして血液を潤し、代謝を正常化させるのがジオウであると考えられます。　生地黄（鮮地黄）・乾地黄・熟地黄を区別して使用するのも、煎じる場合や乾燥時に酒（アルコール）を使用することで、分解しやすいイリドイド類を分解する前に抽出しようとする工夫と考えられ、炎症組織への浸潤透過性や発生する活性酸素の酸化力に合わせたものを利用しようとする古人の熟慮の結果であると思われます。　　つまりより「生」に近いものを使用するほうが、薬効成分が分解しやすいものの冷却効果が強いものと考えられ、実際上の処方運用でもこのような古人の配慮に敬意を表して運用する配慮が必要です。
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         <link>http://www.sasazuka.co.jp/10_ecological_pharmacognosy/post_73.html</link>
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         <pubDate>Fri, 29 Jul 2011 15:08:06 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>蔯皮（チンピ）・枳実（キジツ）</title>
         <description>　[チンピ]
[薬用部位]　西日本以南の温帯から亜熱帯に産する常緑の低木から小高木になるCitrus Unshiu Markovich（ウンシュウミカン）及びC.reticulata blanco（中国）その他ミカン属植物の成熟果皮。
[起　源]　亜熱帯から暖温帯に生育する常緑小高木の柑橘類で、一般に果汁が多い液果を多数つけることから、古くから食用とされています。　また果皮は中の袋果（じょう嚢）に比べて香りが強いので、香り付けとして中の食用部位とは異なる使用方法で今日まで利用されてきています。　一般にヒマラヤ原産のものが多いものの、かなり古くから品種改良による交配種が多く、遺伝子まで調べなければ判別しにくいものも多くなっています。
[成　分]　モノテルペン類（d-limonene,β-pinene,α-terpineol,γ-terpinene,cineole,その他多数）
　　　　　トリテルペノイド類（limonin,nomilin,nomilinic acid,その他多数）
　　　　　フラボノイド類（hesperidin,neohesperidin,naringin,poncirin,rhonifolin,lonicerin,）
　　　　　アルカロイド類（synephrine,1-deoxysynephrineなど）
　　　　　　
[用　途]　食用（ジャム・マーマレードなど）・食品用香料（菓子・飲料など）・漢方薬用

　[キジツ]
[薬用部位]　　本州以南の温帯から亜熱帯に産する常緑の低木から小高木になるCitrus aurantium Linne var.daidai Makino及びC.natsudaidai Hayataまたはその他ミカン属の未成熟果実。
[起　源]　基本的にはチンピとキジツの起源植物は同じと考えても実用上はさしつかえありません。　完熟した果実の果皮をチンピ、未熟の果皮をキジツと考えて利用することで十分対応が可能であると考えられます。　中国の生薬市場ではチンピ・キジツなどの原植物は地域によって異なるので、漢方においては厳密に原植物を区別することは実用上無意味であると考えられます。
[成　分]　後述のようにチンピとキジツの成分パターンの極端な差異は少なく、未熟果ではフラボノイド類のnaringinが多く、完熟果ではhesperidinやneohesperidinが多い傾向があります。
[用　途]　食品用香料（菓子・飲料など）・漢方薬用

[薬　能]　チンピには橘皮・橙皮など、キジツには青皮・枳穀などが仲間としてあり、これを厳しく区別する学者とそうでない学者がいます。　ルーツからすると例えばチンピの場合は「神農本草経」では「橘柚」とされ、陳久（古いもの）のものが最上品（古いものが良いとされる生薬九陳のひとつ）とされたため「陳皮」になったとされています。　後の本草書で橘皮・橙皮など異なる生薬名が出てくるのはミカン属植物が自然交配のほかかなり古くから品種改良が行われてきたため、詳細な調査から古い本草書に記載されている植物と異なることが明らかとなり、別種の生薬として薬効なども真摯に記載したことが最大の原因と思われます。　しかしながら実用上はミカン属の果実としての大小や香りの違いなど細かい点を除けば成分的にも共通性が極めて高く（一部異なるものは後述）、陳皮と橘皮・橙皮は同じものと考えて処方に使用してもあまり問題はないものと思われます。　これと同様のことがキジツにも言えます。　すなわち枳実と青皮・枳穀は成分面での差異も少なく、処方運用の実用上は同じものとして扱っても支障はないものと思われます。　実はこれら柑橘類の成分は未熟・完熟による差異も比較的に少なく、また品種間においても含有成分の品種差による傾向も決定的なものがなく、交配品種などに至ってはどちらの遺伝子の影響が大きく出るのかは調べてみないと詳細がわからないのが実情です。　成分だけにこだわるとすべてについて同じと考えざるを得なくなります。

　一方で成分面ではβ-cryptoxanthin（温暖な湿度の高い地域の柑橘類に多く、ハウス栽培を行うと2~3倍に増加することから湿熱による組織のダメージ防止のために含有するものと考えられる）がβ-caroteneなどに比べて著しい抗炎症作用や抗ガン作用を示すことから注目され、抗ガン作用で注目されたクマリン類のaurapteneや近年柑橘類に多いポリメトキシフラボノイド類が大変脚光を浴びていたりと、柑橘類の成分学的研究はまさに百花繚乱です。　なかでもnobiletinは抗がん作用・抗肥満作用・動脈硬化抑制作用や消炎作用をはじめ様々な薬効が知られるようになり、一躍スーパーヒーローになりつつありますが、ポリメトキシフラボノイド類は同じ柑橘類でもより温帯よりもさらに暑い熱帯に近い地域のもの（シークワーサーやポンカンなどのミカン属に分類される柑橘類に多いのですがウンシュウミカンには何故かほとんど含まれません。　もっと暑い地域を好むものでないと含有しないのではないかと思われます。）に多く含有される傾向があります。　興味深いのはnobiletinなどのポリメトキシフラボノイド類は生体に吸収されると小腸粘膜薬物代謝酵素によってフェノール性水酸基のメトキシル基が脱メチル化され、生理活性が数十倍になることが多いことです。　これは生体側で故意に利用しようとするための成分の代謝活性化（脱メチル化）が行われていることを窺わせます。

　漢方の世界ではチンピとキジツは全く異なる薬物として重要視されていますが、一般的な生薬学の解説書ではチンピ・キジツのいずれでも大抵limonenが成分組成の大半を占めていて未熟果実ではnaringin（苦味成分）が多いことやせいぜい成熟果実での黄色色素hesperidinが多いことが記載されている程度（柑橘類は品種による成分差が大きく、これらの相違で果実の熟成度を知ることはできません）で、生薬学の世界では両者の相違にはあまり興味がないようです。　かつて母校の研究室の先輩が柑橘類に特有のアルカロイドsynephrineの含量の品種差を求めて検定を行ったことがありますが、採集時期の差異と品種間の差異の識別が困難で、残念ながらアルカロイドについてもはっきりとした品種間や季節間の差異はないということです。

　ここで改めて柑橘類一般の生態を調べてみると、初夏に白い5枚の花弁を持った小花をつけてすぐに結実し、品種にもよりますが1~数㎝の緑色の果実（枳実）の状態で暑い夏期の数カ月を過ごします。　この時期に果実を割ってみても内部に果汁（水分）はなく、夏期の強い日差しに負けない強い外果皮をつくるためにnaringin等紫外線防御物質を蓄積し、繊維と脈管ばかりが産生されて内部が充実してくる時期です。　やがて秋期を迎えて涼しくなってからこれらの脈管を通して果汁となる糖分や酸味成分が溜まりだします。　このような生態環境から、夏期には果実の表面側が温帯以南の強い日差しから内部を守るために紫外線吸収作用の強い果実表面のフラボノイド類を大量に産生して強い日差しで表面組織が破壊されることを阻止していることがわかります。　またlimonenをはじめとするモノテルペン類が気化・放熱して果実内部に熱が侵入することを防止します。　秋期になって果実内に種子が出来始めると、密閉された果実内で発生する種子の旺盛な代謝熱を冷却するためと乾燥を防ぐために果汁が溜まって果実が大きくなって成熟に向かいます。　また寒くなるのにともなって果皮と果肉が柑橘類らしいオレンジ色に染まり、一転してカロテノイド系色素成分に太陽熱や代謝熱などを蓄熱して保温し、水分の多い果実内部にも糖分を蓄積して過冷却を防止しています。　また秋期以降は気温の日較差が大きく果汁の温度変化も大きく、じょう嚢に果汁や栄養分などを補給する中果皮の脈管（白いスジ）は、hesperidin（ビタミンP）を含有して内圧の変動が著しいなかでも活性酸素の発生を抑制して安定した果汁の補給能力を有しています。

　このような生態を有する柑橘類ですが、生薬として利用されるのは果実の大半を占める可食部のじょう嚢でなく、枳実でも陳皮でも外果皮（フラベド）であることに注目する必要があります。

　私は柑橘類を学ぶうちに大切なことに気づかされました。　それはオレンジピールオイルの効果についてです。　ご存じのようにオレンジピールオイルは家庭の清掃用洗浄剤として抜群の洗浄効果を発揮します。　これは主としてlimonenの作用とされていますが、このテルペン類の油分の浸透力は極めて高く、例えばスプレーにして油で汚れた壁に吹き付けると瞬時に頑固な汚れも溶かし浮かせて取り除く作用が強いことが知られています。　そこでふと考えさせられました。　柑橘類の果皮の油分には汚れを溶かして除去する効果が強く、柑橘類の果皮で汚れをこすっても、果皮汁を汚れに絞ってかけても汚れが落ちることから、古人はこのことに気がついたのではないかということです。

　このことからチンピやキジツには脈管内やその出入口付近や粘膜全面などの汚れを除去して、脈管内の通交をよくしたり、胃液や腸液などの分泌を正常化するのではないかと考えられることです。　これらのことは古典や生薬学の教科書を呼んでいたのでは半永久的に気がつかないことです。　日常の生活習慣に至るまで何事も学問であることを思い知らされました。

　以上のことからチンピとは胃腸の内部に水分が多く、内臓保護の保温のための充血や停滞した水分の冷えによる血流不全が交錯・不安定化して胃腸の消化・吸収機能などが悪くなった場合に、寒熱による脈管内での活性酸素等の発生を阻止し、安定した脈管の流れを確保して消化器内面の汚れも落とし、消化液の分泌などを正常化することで消化管深部に停滞する代謝熱を消化管内腔に放熱させることで消化管機能を正常化することが本分と考えられます。

　一方キジツは真夏の小果からもわかるように、消化管内には水分はないか少なく、消化管の外面に充血が起こって消化器外面の血管やリンパ管などにも熱を有しているはずであり、この熱暴走による活性酸素の発生を阻止して充血を冷まし、消化管内腔に過剰な熱を放熱させることで消化管の機能を正常化することが本分であると考えられます。　したがってチンピには温めて血流をよくする作用と精油成分の揮散による冷却作用がありますが、キジツには温性はなく冷やす作用のみがあります。

　漢方の世界ではキジツはみずおち部分の硬結や違和感などを目標として使用することになっています。　しかし器官や臓器の生物学的な進化を考慮すると、入口と出口は生物学的には対称性を維持しながら進化してきています。　するとみずおちに相当する対称性の位置にある下部器官である直腸とS状結腸のつなぎ目付近にも作用するに違いありません。　以上のことから承気湯類にキジツが配剤されるのは、胃上部のみずおちばかりではなく、大腸の充血を冷まして蠕動運動を促進して便秘を改善するものと考えられます。　承気湯類にキジツが配剤される理由については、従来胃上部のみずおちに作用するとしか考えられていませんでしたので、様々な解釈があって問題点のひとつでしたが、このようにみずおちと大腸下部にも作用すると考えた方が自然ではないでしょうか？　大柴胡湯・麻子仁丸・四逆散・茯苓飲なども大腸下部の充血・炎症を冷まして大腸の機能を正常化すると考えた方が、みずおちへの作用に無理な理論を重ねて拡大解釈する必要もなくスマートです。</description>
         <link>http://www.sasazuka.co.jp/10_ecological_pharmacognosy/post_74.html</link>
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         <pubDate>Fri, 25 Mar 2011 18:37:15 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>人　参（ニンジン）</title>
         <description>[薬用部位]　Panax ginseng C.A.meyer の根

[起　源]　中国・韓国からシベリア方面までの1,000m前後の中等度に高い山中に生育するウコギ科の多年草です。　冷涼で風のない直射日光の届かない林床内を好み、腐葉土に富み、砂質で透水性と保水性という相反する性質の土壌を必須とします。　草丈が60cm前後と小さく、直立する主茎は１～数本に分枝し、シュート最上部で分枝して葉をつけます。　初年は3枚の複葉ですが、2年目以降は茎の先端に5枚の葉のついた掌状複葉が1本ずつ増えていきます。　4~5年目以降には薄い黄緑色の散形花序を頂生させます。　秋には光沢のあるアオキの実のような真っ赤な実を笠状に十数個～数十個つけます。　根は基本的には直根性を有しますがそれほど深くまで根は伸びません。　野生品では1m前後にもなる細く長い根が見られることもありますが、栽培品は根がよく肥大して長さは一般に数十センチにしかならず、不思議と二股になるものが多く、人間の形をしたものもしばしば見られることから「人参」と呼ばれるようになったとされています。　一般には播種後6年経過した6年根を薬用として収穫・調整します。　また野生品では数十年も生育したものが存在しますが、栽培品では一般に6年ものが限度で、それ以上栽培したものは根の成分が抜けて木質化するか、腐敗してなくなってしまうかのどちらかです。　連作を嫌い、一度ニンジンを植えた畑は韓国では10年、日本では30年は他の作物が生育しないとされていますが、近年休耕田など田んぼを利用するとわずか数年後でもニンジンの栽培が可能であることが研究により明らかとなってきました。　最近ニンジンの160年物が発見されて話題となりましたが、日陰の草本類としては他の植物に比べて寿命の長いことが最大の特徴です。　　その他としてアメリカで自生・栽培そしてアジアへも流通しているニンジン（P.quinquefolium及びP.trifolium）やデンシチニンジン（三七人参：P.notoginseng）、トチバニンジン（竹節人参：P.pseudo-ginseng）なども薬用としてかなり古くから利用されてきた歴史があります。

[成　分]　サポニン類（ginsenoside R₁,Ra₁,Ra₂,Rb₁,Rb₂,Rb₃,Rc,Rd,　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Re,Rf,Rg₁,Rg₂,Rg₃）
　　　　　セスキテルペン類（falcarinol(=pnaxynol),β-elemene）
　　　　　核酸類（adenosine,uracil）
　　　　　ステロール類（β-sitosterol,stigmasterol,daucosterol(=β-sitosterol-D-glucopyranoside)）
　　　　　脂肪酸類（palmitic acid,stearic acid,oleic acid,linolic acid）
　　　　　糖類（glucose,maltose,sucrose,panose,pectin）
　　　　　ビタミン類（vitamin A　,B₁,B₂,C）
　　　　　その他（アミノ酸類、ペプチド類など）

[用　途]　食用、食品添加物（惣菜・菓子類など）、漢方薬用

[薬　能]　薬用ニンジンには種類や変異が多く、いずれも地域の伝承医薬品として今日まで少量を大事に栽培・利用されてきたものが特に四川・雲南地域には数種類あるものの、実質的に特定の民族や地域でしか流通せず、繁用・実用解説する意味に乏しい品種が多いのが実態です。　そこで解説は日本で通常流通するニンジン類に限定することとしました。

　最もポピュラーなニンジンは初年度にはわずかに本葉を3枚ほどしか葉を持たず、また直射日光を嫌う日覆栽培をするうえにニンジンはアルカロイドを持たないのでエネルギー不足が深刻なはずです。　しかしながら根の極めて強力な栄養分の吸収・代謝能力によって生育が可能です。　播種して1年目に最も病気などで枯れやすいのも葉数が少なくエネルギー不足が深刻であることの証明であると考えられます。　2年目以降は5枚ずつ葉が増えていきますが、暗い林床内で光量と葉数の不足による光合成不足（エネルギー不足）はあまり改善しません。　さらに4~5年目以降になると毎年数十個の花を咲かせ、結実もすることからエネルギー不足はさらに深刻となるにもかかわらず、やはり毎年開花・結実する代謝能力は他の植物には見られない極めて強力な性質です。　このように栄養分を中心に集中させるために中心茎を取り囲むように葉梢がついていてシュート先端に栄養分と代謝能力を集中させるために、どんなに良い環境下で栽培しても草丈はせいぜい60cmほどにしか生育できません。

　母の実家が信州で知り合いに人参の組合長もいた関係で栽培環境は近くでみたことがありますが、夏至（太陽高度が最も高いころ）になると、翌年人参の苗を植え付けるため、真南からの太陽光線を遮光する覆いとその下に畝を作ります。　太陽に垂直方向に畝を作り、日よけの覆いは南側を低く、北側を高くするようになっています。　実質的には畝はだいたい北東方向に伸びるように作られ、春先は斜光が適度に差すようにし、日差しの強い夏期は斜光されて太陽光線が当たらないように調整します。　オウレンの栽培時ほど遮光度は厳しくありませんが、夏期には十分な斜光が必須です。　またニンジンの栽培には夏期の気温は25℃以下であることが必須で、気圧も低い山中で生育していて酸素欠乏下で生育していますので、低温・酸欠条件下でもシュートの中心・先端に栄養分と代謝能力を集中させる能力の高いことがわかります。　特筆すべきことは光合成を行う草本植物であるにもかかわらず、日照を嫌ううえにアルカロイドを含有しないことからエネルギー不足が常態化しているにもかかわらず、毎年数十個の花を開花・結実させる代謝能力の高さです。　特にセリ科生薬類トウキやセンキュウなどは開花してしまうとシュート先端に栄養分が取られてしまい、根や根茎が木質化して生薬としての薬能を失ってしまうことを考慮すると、ニンジンは暗い林床内で葉数も少なく光合成能力が低いにもかかわらず、何年経っても根の栄養分や代謝能力が失われず、薬用となることは驚異的であると言わざるを得ません。

　一方この対極にあるのがサンシチニンジン（三七人参：田七人参）です。　サンシチニンジンは四川・雲南地方（文山地区が有名）の低酸素でも温暖で日照時間が長い場所でなければ生育することのできない不思議なニンジンです。　しかしながらニンジンの仲間は強い太陽光線に弱く、基本的には遮光された日陰でないと栽培できません。　とあるメーカーさんの中国の文献資料によると、標高が1200~1600m付近で年間平均気温が15℃を割らないという高地にしては大変温暖な気候下でないと栽培できないとされています。　このため中国でも栽培できる地域は極めて限られています。　もっと驚くのは組織培養をするのに最適の温度が22~26℃前後であるということです。　これは日本の気象庁の分類からいえば「夏日」に相当するほどです。　代謝も未熟で幼若な未分化のカルス細胞（iPS細胞のような万能細胞）がこのような「暑い」環境下で腐敗もせず、むしろ生育に最適な温度として好むということは大変めずらしく、熱のこもる環境下で熱を処理する能力（冷やす能力）に先天的に長けていることを示しています。

　ちなみに日本の山中で同じような低温・低酸素条件下を好むニンジンの仲間にトチバニンジン（竹節人参）がありますが、中国との国交が回復するまでは日本ではこれが主としてニンジンとして使用されました。　トチバニンジン（竹節人参）のほうがニンジンに比べてはるかに苦味が強く（chikusetusaponinの影響）、健胃・鎮咳・去痰作用など消炎作用は日本のニンジンのほうが強いことが知られています。　したがって消炎作用に注目すると、ニンジンとサンシチニンジンの中間に位置するのがチクセツニンジンであると考えられます。

　ここで考えなければならないことは、ニンジンの仲間は低酸素で紫外線の強い標高の高い場所を好むことです。　ニンジンの仲間は進化程度の低いウコギ科で、紫外線を防御するフラボノイドやキサントフィルなどを含みません。　そこで標高は高くても林床内など紫外線の少ない環境で、乏しい光量に耐えて代謝を行っています。　年々大きくなる植物体を維持するための乏しい光合成を補うために毎年少しずつ葉数を増やしていることから、地上に比べて弱い太陽光線ながらも日照時間を稼ごうとして標高の高い場所を好んでいるものと推測されます。　このような性質から栽培する場合にも遮光は必須条件で日向では栽培できません。　また日光の乏しい環境で生育するにもかかわらずアルカロイドを含有しませんから、エネルギー不足が常態化して光合成による栄養分や代謝成分の大量生産を行うことができません。　そこで基本的な栄養分は土壌からの吸収によって賄うことにしたので、他の植物に比べて著しく土壌からの栄養分の吸収能力に長けているものと思われ、このような理由から毎年開花・結実することが可能となるものと考えられます。　ニンジンの仲間が肥沃な土壌を好み、生育土壌の栄養分を吸い取ってしまうために、これらの栽培後は数年～数十年もの間他の植物を栽培できないのにはこのような事情があるものと思われます。

　以上を考慮すると、ニンジンには低酸素で冷えた状態で栄養分が腸管から吸収できない状態のときにこれらの吸収・代謝能力を極めて強力にサポートして、血液中に水分とともに栄養分を補給する高い能力があることから、消化管が血流不足で低酸素状態となり、消化・吸収能力が低下している場合に、豊富なサポニン類が糖分を補って低酸素下でも働く消化管の解糖系代謝（好気性代謝の100倍以上の速度で働く）を稼働させて、短時間の間に水分と栄養分を強力に補給する能力のあることがわかります。

　結局ニンジンの証とは、貧血等で消化管の血流が乏しく冷えて低酸素状態が起こっている場合に、消化管に血流を配分しなくても血液中に水分とともに栄養分を吸収・補給させることが正面の証であると考えられます。　このように仮定すると、体内がオーバーヒートして放熱のために血流が体表に偏った陽証の白虎加人参湯証の場合も、体表と体内の血流分布が逆転して体表に血流が偏り内臓が冷えている陰証(真寒仮熱)の四逆加人参湯証でも、中間証で血液中に熱がこもっている柴胡証である柴胡桂枝湯証や柴胡加竜骨牡蠣湯証などでも、同様に消化管には血流も酸素も乏しいので、血液中に血液分布に頼らず水分や栄養分を補給するためにニンジンを配剤するものであると考えれば矛盾なく解釈できます。　また三七人参では低酸素下の暑い環境下でも生育できることから、栄養分と水分の補給能力の他に、酸欠で熱を持って炎症を起している臓器（心臓・肝臓・腎臓等）の炎症を冷ましながら代謝を持続させる能力が高いことがわかります。　したがって日本に古来から自生している竹節人参は生育環境の酸素分圧と温度・湿度等を考慮すると、これらの中間的性質を有することが考えられます。

　成分面でみると、易酸化性のfalcarinol（セリ科、キク科、ウコギ科に多い）等のポリアセチレン化合物が活性酸素を消去し、protopanaxadiol,protopanaxatriol,oleanoic acidの３系統のサポニン類は低酸素環境下の消化管細胞と腸内細菌叢に配糖体の糖部分を供給して解糖系代謝を助け、多くの栄養成分の吸収を促進して全身の細胞代謝を活性化します。　また様々な薬理活性が報告されているのは主にprotopanaxadiol,protopanaxatriol系サポニンばかりですが、oleanoic acid系サポニンも重要な役目を果しているものと考えられます。　oleanoic acidはブドウの粉を吹いたような果皮の成分の大半を占めます（種類によっては果皮のブルーム組成の80％にもなります）。　ブドウは夏期から秋期の気温が下がり水分の蒸散量が急激に減る時期になるとシュート末端である果実に急速に水分を蓄えて熟してゆきますが、このとき急激な膨張圧で果皮が割れないように果皮細胞膜の透過性を高めてガス内圧をコントロールするのがoleanoic acid（細胞膜透過性を高めて抗がん剤の薬効を強化する効果が報告されている）であると考えられ、出荷期には1日に10~20cmも伸びるキュウリにも直径50cmにもなる冬瓜にも大量に含有される同じoleanoic acidが果皮を白く覆っていることとも理論的に一致します。　もしこれらの果皮にoleanoic acidがなければおそらくマスクメロンのようにヒビが入るはずです。　これらのことからニンジンは様々な成分の吸収促進・代謝亢進作用によって急激に膨満する全身の細胞を保護するためにoleanoic acid系サポニンを含有するのではないかと考えられることです。　すなわちprotopanaxadiol,protopanaxatriol系サポニンが効力を発揮する太刀持ち・露払いの役割を果しているのがoleanoic acidであって、ニンジンが薬効を発揮するための補佐として必要不可欠の成分なのではないかと考えております。

　protopanaxadiol,protopanaxatriol系サポニンは分子の骨格が堅固で、二重結合やケトン基など吸熱性の高い部分構造を基本的に有していません。　したがってこれらの成分の本分は体内へ吸収されるまでは様々な栄養成分などをキレート化したり、包接したり、乳化したりと様々な栄養分が吸収されやすくすることを補助するものであり、糖部がはずれて体内に吸収されてからは、外界へ飛び出た水酸基がある閾値を越えた酸化力の強い活性酸素によって酸化されると、初めてリーベルマン反応による「分子内ドミノ倒し反応」によって強力な活性酸素消去作用を示すことによって消炎作用を現わすものと考えられます。　補剤として滋養・強壮作用を持ちながら、強力な消炎作用を現わすのにはこのような秀逸なメカニズムを兼ね備えているからと考えられます。　一時これらサポニン類のマロン酸塩が生のニンジンから見つかって直接TCA回路を活性化するのではないかと騒がれましたが、生干しのニンジンではすでにこれらの成分は分解されて存在しないことから、薬効とは関係ないものと考えられています。

　漢方の古方派の間では、ニンジンの証といえば何と言っても古方派第一人者である吉益東洞の著作「薬徴」「方極」にみられるように「心下痞硬」が有名で、わが師匠　故渡辺　武先生は腹証まで決定してニンジンの証を確定的にしましたが、それほど確定的とされる割合には「傷寒論」「金匱要略」に記載のニンジン配合の処方の条文には基本的に瀉心湯類以外に「心下痞硬」（心中痞や脇下痞硬などは多数あるが一字一句を大切にする古方派にはこれでは説明できない）の記載がありません。　また極端な実証（陽証）である白虎加人参湯証や柴胡加竜骨牡蠣湯証でも、対極にある虚証（陰証）である四逆加人参湯証でも同じ腹証が起こるという矛盾に対して古方派は無力で解釈ができません。　これは実践を中心とした古方派が何とかしてニンジンの適応症に対する法則を発見しようとしたための無理な理論づけを行ったことが問題となっています。　したがってニンジンの適応症の中には「心下痞硬」の存在する場合があるのかも知れませんが、これを絶対的として診断基準とすることは明らかに間違いであると断定せざるを得ません。</description>
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         <pubDate>Fri, 25 Mar 2011 18:29:33 +0900</pubDate>
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         <title>当帰（トウキ）・川芎（センキュウ）・防風（ボウフウ）・白芷（ビャクシ）・独活（ウド）</title>
         <description>　[トウキ]　
[薬用部位]　Angelica acutiloba Kitagawa またはその近縁植物の根。　 
[起　源]　トウキは50~80㎝ほどになるセリ科の多年草です。　夏期には最上部のシュート末端にセリ科特有の白い複散形花序をつけます。　トウキは関東地方では標高1,000ｍ以上の山地へ行かないと見ることはできません。　夏期でも比較的冷涼で日当たりの良い場所を求めるためか岩場やガレ場など土壌の少ない場所を好みます。　温暖な平地でも生育はできますが、これは揮発性成分による放熱効果があるためであり、あくまで緊急避難的な代謝であることから持続的な生産栽培には冷涼な気候が必須です。　トウキの特徴は茎が下方から上方まで濃暗紫色～濃暗褐色をしていることです（ホッカイトウキなどの他種では茎に着色することがなく緑色）。　江戸時代に入るとトウキの需要が増したので、自給自足のために大和・山城地方全域でミヤマトウキ系のトウキが大量に栽培され、大和当帰（天上当帰）として流通しましたが、その後奈良県五条市大深地方で良質のトウキが栽培されて普及したために大和当帰は一時消滅しました。　大和当帰は明治時代に北海道で栽培されましたが、抽苔して根が木質化しやすく収率が悪いために北海道へ導入された栽培種であるホッカイトウキ(A.acutiloba KItagawa var. sugiyamae Hikino：原植物の詳細・由来は不明) が昭和に入って流通し始め、形態や性質のほか成分・薬効などが近いことから近年には日本薬局方に収載されました。　中国では中国産のカラトウキ(A.sinensis Diels) が使用されていますが、中国ではトウキの野生品の記載が全くなく、日本産のトウキを中国に持ち込んで栽培したものが流通するようになったものとされています。　しかしながら神農本草経や傷寒論・金匱要略などが出版された時代には日本との間に船舶などの交流がないのもかかわらずこれらに記載があることを考慮すると、中国のこの時代には野生品を採取して利用したものがやがて取り尽くされて絶滅したため、日本から導入したトウキ（小野蘭山が中国へ持ち込んだと言われている）を栽培するようになって今日に至ったものと考えるのが最も自然な流れであると考えられます。
[成　分]　フタリド類（safrole,isosafrole,ligustilide,butylidenphthalideなど）
　　　　　ポリアセチレン類（falcarindiol,falcarinol,dehydrofalcarin,falcarinoloneなど）
　　　　　クマリン・フロクマリン類（scopoletin,bergaptenなど）
　　　　　脂肪酸類（palmitic acid,linolic acid,oleicacid,dodecanol,tetradecanol,β-sitosterol）
　　　　　その他（glucose,fructose,sucroseなど）
　　　　　ビタミン類等（nicotinic acid,pantothenic acid,folic acid,vitamin B12,biotinなど）
[用　途]　薬用（漢方薬用）、調理用、駄菓子（近年では中国でも見られなくなってきましたが、一昔前までは根を縦に櫛型に薄く切って焙り糖蜜に浸けたものを路傍で販売していました。）

　[センキュウ]　
[薬用部位]　Cnidium officinale Makino（センキュウ）の根茎　
[起　源]　草丈30~60㎝になるセリ科の多年草です。　原産地は中国とされていますがよくわかっていません。　日本では長野県や東北・北海道で栽培されています。　冷涼な気候で水分の多い土壌を好み、特に夏期に暑さや乾燥にあうと容易に枯死してしまいますが、水はけが悪いと根は腐敗しやすく、また傾斜地より平地を好む傾向があることから、常時冷たい水分を利用しやすい環境を必要とする気難しい側面を有しています。　江戸時代にはセンキュウが入手しにくいことと根がセンキュウの香りなどに近く山野で入手しやすいことから Angelica polymorpha（シラネセンキュウ）が利用されたこともありますが、根が小さく、収量も少ないので利用されなくなりました。　また古い分類ではConioselinum（ミヤマセンキュウ属）に分類されたのでConioselinum filicinum (Wolff) Hara（ミヤマセンキュウ）も利用されたこともありますが、形態的にはセンキュウとは明らかに異なっています。　さらにセンキュウは永年Cnidium（ハマゼリ属）とされていましたが、近年rbcL（リブロースビスリン酸カルボキシラーゼ）の遺伝子研究からLigsticum（マルバトウキ属）に最も近いとされています。　このような混乱の起こる最大の理由はセンキュウが基本的に花をつけず、またたまに花が咲いても不稔性（種子ができても中身がない）のために種子がないので正確な分類ができない点にあります。　また種子がないために繁殖は基本的に根茎の株分けしかなく、伝統的な生薬でありながらセンキュウはすべてがクローン（ソメイヨシノと同じ）であるという驚くべき事実があります。　中国で一般に使用されているセンキュウ（Ligsticum chuanxiong）と日本のセンキュウは明らかに異なっていますがやはり不稔性のため詳細が不明です。　
[成　分]　アルカロイド類（tetramethylpyrazine,perlolyrineなど）
　　　　　フタリド類（cnidilide,neocnidilide,ligstilide,senkyunolide,sedanonic acid lactone,butylphthalide,butylidenphthalideなど）
　　　　　ポリアセチレン類（falcarindiol,falcarinol,dehydrofalcarin,falcarinoloneなど）
　　　　　ポリフェノール類（chrysophanol,sedanonic acid）
[用　途]　薬用（漢方薬用）

　[ボウフウ]　
[薬用部位]　Saposhnikovia divaricata (Turcz.) Schischk.（ボウフウ）の根及び根茎
[起　源]　ボウフウは元来日本にはなかった植物で、中国北東部からモンゴルなどの日当たりが良く地温も高い火山性の丘陵地など酸性土壌のや草むら（サイコに似ている）などに自生する草丈30～80㎝になるセリ科の多年草です。　直根性・深根性があり、香りの良いゴボウのように太い根を有することが他のセリ科植物との決定的な違いと言えます。　また根頭部の代謝が盛んでオウレンの根生葉のように地ぎわから草質茎を多数分枝して出し、さらに先端で分枝したシュート上端に複散形花序をいくつもつけるため、花期にはヨロイグサやウドのように花が多い感じがしてにぎやかです。　江戸時代には中国から伝えられたボウフウを奈良県宇陀郡の森野藤助が栽培に成功（森野旧薬園）した「藤助防風」（真防風）が有名となりましたが、全国の浜辺に自生していて入手しやすいハマボウフウ（Glehnia littoralis Fr.Schmidt ex Miquel）が流通するようになりました。　またイブキボウフウ（Seseli.libanotis var. daucifolia Fr.et Sav.）及びオオバノイブキボウフウ（Seseli libanotis Koch.）も「伊吹防風」として使用された時期もありましたが、局方から削除されて流通が途絶えました。　ボウフウは永年に渡って起源植物がはっきりせず、古来から多くの学者たちに全く異なる植物を代用品として良いのかについては異論が多く、少なくとも古典に基づく漢方処方の運用においては代用品の使用は考え直す必要があるのかも知れません。　昭和に入り中国との国交が回復して本物のボウフウ（真防風）が流通するようになってからは、わざわざ代用品を使用する意味はあまりなくなってきています。
[成　分]　クマリン・フロクマリン類（,fraxidin,isofraxidin,scopoletin,bergapten,psoralen,deltoinなど）
　　　　　クロモン類（hamaudol,simifugin,5-O-methylvisamminolなど）
　　　　　多糖体類（saposhnikovan A～C）
[用　途]　食用（ハマボウフウ：刺身のつま、お浸し、酢の物など）・入浴剤など・漢方薬用

　[ビャクシ]
[薬用部位]　Angelica dahurica（ヨロイグサ）及びその近縁植物の根
[起　源]　中国東北部や中部日本以北の渓谷や海岸沿いの林床内などで生育し、2.5mにもなるセリ科の多年草で、太い円柱状の中空茎を有しています。　全体的に大柄な植物で葉面が大きく重く、多数の葉が重なり合っていることから「鎧」のようなのでヨロイグサと呼ばれています。　またセリ科植物としてはシュート上方に散形花序が多く、夏期の開花時には全草が薄緑色の打ち上げ花火のような華やかな印象があります。
[成　分]　フロクマリン類（byak-angelicin,byak-angelicol,imperatorin,phellopterinなど）
[用　途]　軟膏の基剤、化粧品への配合剤、漢方薬用

　[ドッカツ]
[薬用部位]　Angelica pubescens Maxim.f.biserrata Shan et Yuan（重歯毛当帰） や Angelica pubescens Maxim.（シシウド）及びその近縁植物またはAralia cordata Thunb（ウド）の根茎及び根
[起　源]　ドッカツもまた大変問題の多い生薬のひとつです。　中国のドッカツ（重歯毛当帰）は原産地は2,000m以上の標高の高い寒冷な中国南西部で、日当たりの良い渓谷や乾燥した高層湿原や林縁など水分が多く、水はけのよい肥沃な場所を好むセリ科の多年草です。　ビャクシとドッカツは永年混用されてきた経過があり、現在でも地域によってはこれらを区別しないで使用している地域もあり、学説もいろいろあるので植物学的な分類はできても生薬としての用途上の正確な分類は事実上難しくなっています。　この中で Angelica pubescens Maxim.（シシウド）はビャクシにもドッカツにも使用されており、また日本の山菜として有名なAralia cordata Thunb.（ウド：土当帰または和独活）はセリ科でなくウコギ科で成分パターンも全く異なりますが中国・韓国でも日本でもドッカツとして永年使用されてきた経緯があります。　中医学でよく利用されるドッカツですが、処方内での生薬としての効能・効果が示されているのに原植物の解説が少ないのにはこのような複雑な背景があるためと考えられます。
[成　分]　＊重歯毛当帰
　　　　クマリン類（angelol,angelicone,angelicotoxin,bergapten,osthole,psoralen,umbelliferone,scopoletin）
　　　　有機酸類（angelic acid,tiglic acid,palmitic acid,stearic acid,oleic acid,linolenic acid）
　　　　その他（phytosterolなど）
　　　　 ＊軟毛独活
　　　　クマリン類（angelicin,pimpinellin,isopimpinellin,bergapten,isobergapten,sphondin,xanthotoxin）
　　　　 ＊ウド（土当帰・和独活）
　　　　モノテルペン類（limonene,sabinene,α-pinene,γ-terpinene,myrcene,humulene,α-copaene）
　　　　ジテルペン類（19位が水酸基またはカルボキシル基となった豊富なkaurane型diterpene類）
[用　途]　漢方薬用、食用（山菜として：ウドの場合）


[薬　能]　これらのセリ科生薬を一緒にして解説するには理由があります。　これらの生薬はセリ科の中でも特徴があり、古人たちが数多く存在するセリ科植物の中から卓越した観察眼によって薬物として選抜した理由が垣間見えるからです。

　セリ科植物は一般に植物体の色が薄いことから推察される通り葉緑素が少なく、エネルギー産生効率が悪いものが多いようです。　また節ごとに軽く折れ曲がり、茎葉が出てシュートの最上部に噴水のような複散形花序を咲かせるものが多く、根は貧弱で細長いものがポピュラーです。　またここに纏めたセリ科植物は山間部に生育するものが多く、どちらかと言えば低温・低酸素環境下を好む傾向があります。　これはここに載せたセリ科植物が低温・低酸素下でも働く解糖系を主体として代謝を行っている証拠です。

　トウキはこのような中で有色の茎を持ち、栄養分や土壌に乏しい岩場やガレ場の隙間に根を張り巡らせ、冷たく、酸素の乏しい環境下でも代謝を行う強力な解糖系代謝能力を有しています。 また香りが強く茎が有色であることから、植物体表面の代謝能力の高いことと代謝熱を放熱した後も熱エネルギーの保持効果の高いフタリド類による保温効果によって過冷却による代謝の低下を防いでいることがわかります。　またトウキは開花すると根が木質化して薬能がなくなることや、冷たく、酸素の乏しい条件下でも土壌から栄養分を吸収してシュート先端まで保温しながら運搬して代謝を行わせ、夏期までに植物体内に停滞する代謝熱などの揮発性老廃物を低温条件に抵抗して揮散・放熱、代謝を持続させる能力のあることから、栄養吸収状態が悪く、代謝も悪くて特に皮膚面に血流が乏しいために皮膚温度や皮膚の代謝が低くても、解糖系を活性化してこれらを維持しながらに体内深部に停滞した代謝熱を揮散・放熱できる能力のあることがわかります。　また以下のセンキュウで述べるように、主茎の生育をできるだけさせないように栽培することから草丈が低く、その分下方のシュートには葉数が多くつきますが、放熱しやすいようにするために葉先は細く尖っています（学名のacutilobaは「尖った葉」のこと）。

　センキュウは夏期でも冷たい湿って引き締まった酸素の乏しい砂質土壌から水分・栄養分をひき上げて上方のシュート末端まで運搬して代謝に利用しています。　センキュウは主茎に集中しがちな栄養分やエネルギーを植物体全体に均等に分散して代謝を行っていて、特に下方に栄養分を集中させて根茎を次々に大きくする性質を有します。　このために草丈が低く、上方のシュート末端に代謝能力が乏しいので開花せず、開花しても結実しないものと思われます。　その証拠にセリ科植物にしては低い草丈の割合に葉数が多く、こんもりとした印象を受けます。　また花が咲かないので、特に夏期などにはシュート末端にこもった代謝熱を放熱・処理ができず、葉面や茎へ迂回させて気化・放熱させるほか、冷たい水分を巡らせながら代謝熱を回収して植物体表面まで運搬することでシュート末端の冷却を行っています。　しかしながらセンキュウの茎葉は食用のセロリのように含水率が高く、冷涼な気候下で水分の多い植物体から気化・放熱を行うと冷えて過冷却となってしまいます。　そこでセンキュウは植物体表面が冷えないように熱エネルギー保持効果の高いフタリド類をトウキの数倍から十数倍豊富に含有して植物体全体を保温しています。　夏期の特に暑い日に植物園を訪れるとセリ科植物の香りが漂っていてセンキュウの香りであることが多いようですが、暑さの苦手なセンキュウは含有量の多い精油成分を揮散させることで緊急避難的に自身の冷却を行っています。　これらのことからセンキュウは体表面に血流が乏しく低酸素環境となって冷えている場合に、解糖系代謝を活性化し、体内深部に停滞している代謝熱を温水として全身に均等に分散・循環させて皮膚近傍の血流量を増加させ、上方や体表面まで運搬して保温しながら気化・放熱しやすくするサポート能力のあることがわかります。

　ボウフウは水はけと日当たりの良いやや乾燥気味の酸性の火山性土壌の草むらを好みます（サイコに似ている）。　このような場所は夏期には草で蒸れて高温・高湿度の中に埋もれてしまうなかで代謝を行わなければなりませんが、ボウフウはこのような場所で地下深部から流下したミネラル類を極めて多数のシュートに分散・ひき上げて代謝を行い、大量の複散形花序を咲かせて、高温・高湿度に逆らいながら代謝熱を気化・放熱を行う放熱能力の高さを誇っています（ケイガイに似ている）。　日本では入手しにくいボウフウの代用として全国の浜辺に自生するハマボウフウが利用されてきましたが、土壌に塩分が多い点を除くと、夏期は空中湿度と気温が高く代謝熱の放熱がしにくい環境に逆らって放熱している点や、根が太くて長く地下深部からミネラル類を引き出して代謝に利用しているなど、その生態はややボウフウに似ているところがあります。　このような観察を行うと漢方の原典に記載されているものとは明白に異なることから、原典の記載に基づいて利用することには問題があるかも知れませんが、日本人の塩分の多い代謝環境を慎重に考慮すれば利用することも可能であるかもしれません。　いずれにせよボウフウの適応する症状は、一見皮膚は湿っているようでも皮膚の下部は乾燥気味で熱を有していて熱が気化・放熱できない状態を、深部からミネラル類などを引き出して皮膚表面の脈管に広く分散して代謝を活性化し、皮膚外面の湿度に逆らって気化・放熱して改善する発散する能力の高い薬物であることがわかります。　ただしセッコウの「証」ほどの大量の熱が停滞して皮下の乾燥がひどくなっているほではなく、セッコウの「証」よりも軽いと言えるかもしれません。　皮膚近傍の浅い部位にこもっている熱を気化・放熱させる薬物にチモ（知母）がありますが、チモは作用部位が極めて浅い部位であることや皮膚近傍がもっと乾燥した状態に適応するので作用メカニズムが異なります。　したがってボウフウの「証」では量的にもある程度の熱が皮膚にこもっていることが予想され、痒みや腫れがあったり、出来物があったりすることが予想されます。

　ビャクシ（ヨロイグサ）は低温・低酸素で働く解糖系を駆使するので、2ｍ以上にもなるまさに「ウドの大木」の代表選手です。　セリ科植物は一般に傘形の複散形花序をシュート末端に開花させますが、ビャクシはセリ科植物らしく、主茎に栄養分やエネルギーを集中させるために草丈が大きくなるものと思われます。　また上方に近づくにつれて花序を大量につけることが特徴で、夏期の開花期にはシュートの上方を中心に複散形花序を大変多数つけるために華やかな印象が強いことが特徴です。　また日照を好むためか、日当たりの良い南東斜面の川沿いなど低温で日当たりの良い環境下を好み、分布も年間日照時間の長い西日本の山間部に多い傾向があります。　特徴としてはこれだけたくさんの花を開花させるにもかかわらず根の栄養分が開花によって抜けてしまうことがないことから、根には長い草丈を通してシュート末端まで栄養分と代謝能力を運搬し、代謝熱を気化・放熱する能力が極めて高い（成長力の旺盛な解糖系）ことがわかります。　またセリ科植物としては精油成分が多く、主として水分よりも油分を運搬して代謝を行い、多数の花から気化・放熱する能力が優れていることもわかります。　これらのことから主として上半身の皮膚面が冷たく冷えた状態で、皮膚面の代謝が乏しく、代謝熱が体内深部にこもっているような場合に、解糖系代謝の活性化と豊富な精油成分による代謝熱の運搬・気化・放熱によって、皮膚面の温度低下を回避して皮膚温度と代謝を維持する薬能があります。　ただし生育に長い日照時間を要して日照を好むことから、体表は冷えていても体内にこもる代謝熱の量の多い症状に適応することが考えられます。

　ドッカツ（ウド）は日当たりが良く標高の高い冷涼な山地で、地下に水分が多くても水はけの良い斜面を好むことから、性質は似た環境下で生育するオケラ（ジュツ）に近いことが予想されます（オケラの方が低山地でドッカツよりは酸素の多い環境を好む）。　ドッカツは植物体自体が大変大きいために、オケラなどよりはずっと深根性があって常時水分要求性が高いので、茎なども含水量が高くみずみずしいことは皆さんご存じの通りです。　「神農本草経」などの古い時代には独活（ドッカツ）白芷（ビャクシ）と羗活（キョウカツ）の区別はなく同じ薬物として流通していましたが、唐の時代に入ると羗活（キョウカツ）は区別されるようになり、後者のほうがより体表の冷えと湿り気による皮膚機能の低下に適応するようになりました。　キョウカツは標高2,500～3,500ｍの低温・低酸素下に分布することを考慮すると、薬能が異なると考える方が自然な気がします。　また山菜として有名なウコギ科のドッカツ（ウド）は東京の立川付近では防空壕跡などの地下で軟白栽培されることで有名ですが、一切太陽光線を受けず、換気の悪い低温・低酸素下でも1ｍ前後まで成長する解糖系の代謝能力の高さには目を見張るものがあります。　ウドはアルカロイドをほとんど含有せず、光合成をしなくても硬く直立したみずみずしい太い茎や丈夫な葉をつける高い解糖系代謝能力を有することは特筆に値します。　以上を考慮するとドッカツとは皮膚面の代謝レベルが低く、皮膚表面が湿って低温になり、蒸泄能力の低下している場合に、血流などのエネルギー供給が乏しくても、皮膚面の解糖系代謝を活性化して、皮下深部に停滞している代謝熱を気化・放熱させる能力があるということです。　したがって皮膚表面は湿って温度が低く、内部に多めの水分と伏熱がある場合に適応すると考えられます。

　多くのセリ科植物たちは細い茎を軽く折り曲げながら階段状に伸ばし、シュート最上端に小さく目立たない複散形花序をつけることが一般的ですが、トウキは花芽をくり抜いて開花させないようにしたものを利用し、センキュウは花そのものがあまり開花しないなどシュート末端からの発散性をなくしたものを薬物として選定しているように思われます。　またセリ科に共通の香気成分として有名なフタリド類は小さな分子化合物の割合に共役二重結合が多く、熱エネルギーのキャパシティが多いため熱エネルギーの過剰な組織からはこれらを吸い取ってオーバーヒートを防ぎ、細いシュート末端など冷えやすい組織ではこれらを組織に付与して温めることで植物体内での熱エネルギー分布のバランスを取り、シュートの最上部に集中しがちな熱エネルギーを下方のシュートなど植物体全体に均等に分散して乏しい産生エネルギーの有効活用を行っています。　したがってトウキやセンキュウは主茎に栄養分やエネルギーが集中せず分散するため草丈が高くなることができません。　こうしたことからトウキやセンキュウは産生エネルギーの乏しい状態でも組織の隅々まで温めて、熱が過剰になった場合には放熱できるように皮膚面の代謝機能を活性化することがわかります。

　一方1～2ｍにもなるビャクシやドッカツは他の植物よりも太陽光線を多く受けるために主茎に栄養分やエネルギーを集中させて主茎を太くして草丈を高くし、乏しいエネルギー産生効率を補っています。　またビャクシもドッカツも低温・低酸素の高山で生育し、どちらも冷えに強い強力な代謝能力を有することがわかります。　また旺盛な代謝に伴う過剰な熱エネルギーの放熱のために他のセリ科よりも花を大きく、多数つけることによって放熱を行って生育しています。　これらのことからビャクシやドッカツはトウキやセンキュウに比べてシュート末端（人体では皮膚や肺・腸などの粘膜）での気化・放熱能力が高いことがわかります。

　草丈で言うと1ｍ前後でこれらの中間に位置するのがボウフウになります。　火山灰土壌で地温が高く日照を好むボウフウは、主茎に代謝熱と太陽熱などの熱エネルギーが大量にこもりやすいことから、草むらの中で草蒸れた高湿度に逆らって気化・放熱する能力が極めて高いことがよくわかります。　以上のことから上記のセリ科植物と異なり、ボウフウの適応症では皮膚表面には熱とほんのり湿気があり、皮下深部より水分やミネラル類などをひき上げて皮膚の代謝亢進に利用してこれらの熱を気化・放熱させていることがわかります。

　成分的な面での特徴は何と言ってもセリ科に特有のフタリド類の存在です。　フタリドは自己ラクトン環を形成していて安定な吸熱性の大きな熱エネルギー運搬化合物です。　また活性酸素の発生部位では酸化され共役二重結合が大きくなってさらに吸熱量が増加し、芳香環化して安定化した熱エネルギー運搬化合物になります。　このため熱エネルギーの過剰な組織からは過剰な熱を吸熱し、冷えた組織には熱エネルギーを付与して温める働きがあります。　またどの酸化レベルにおいてもラクトン環が酸化開裂すればジカルボン酸になるため、アシドーシス性の高い細胞へ選択的に侵入して炎症性の過剰な熱エネルギーを吸熱できるようになる優秀なプロドラッグです。

　近年薬物代謝酵素CYP3A4に関与することで有名になったグレープフルーツなど一部の柑橘類に含有されるフロクマリンを含有するセリ科生薬が存在しますが、処方運用上過去に問題が起こったことがなく、また現存するすべての医薬品の約60%ほどにも小腸上の薬物代謝酵素との間に何らかの相互作用が報告されていることを考慮すると、実用上はあまり問題にならないと思われます。　これは世界中で繁用されているCa拮抗剤とグレープフルーツの併用による副作用の報告例もあまりにも少なすぎることもあり、過剰な心配は無用と思われます。　個人的に気になっているのはフロクマリンの多いシシウドやヨロイグサ等は特に平地での栽培が難しく、ひとつには気温と気圧の違いが影響していると思われますが、多くのセリ科植物が移植を嫌う性質が強いことを考慮すると、これらの生薬では根と土壌の間に共生関係の存在が考えられることから、人体においても腸からの栄養分の吸収などの代謝にフロクマリンが大きな影響を及ぼしている気がしてなりません。

　漢方処方ではトウキとセンキュウがよく同時に配剤されますが、トウキは冷えて酸欠状態の腸の解糖系代謝を活性化してから栄養分や水分の吸収を促進させ、皮膚表面では運搬されてきた栄養分や水分等を利用して同様に解糖系代謝を活性化し、皮膚面の低温・低酸素状態を改善して過冷却にならないように保温しながら代謝熱を排熱します。　一方センキュウは開花しないことからわかるように熱の発散能力には乏しいのですが、下方からシュート上方へ水分や栄養分などを分散・運搬する能力に長けています。　つまりトウキは入口と出口をセンキュウは間の配管を担当するというようなイメージです。　したがってトウキとセンキュウはセットで利用されることが多く、どちらかだけが配剤されている場合は他方を配剤する必要性が少ないからです。　例えばトウキだけが配剤される場合は、栄養分や水分の目的組織までの運搬能力に問題がない場合で、センキュウだけが配剤される場合にはこれらの吸収能力や皮膚面の代謝能力の補佐よりも運搬能力の必要性が高い場合になります。

　また漢方の世界では「証」によって皮膚表面での代謝熱の発散方法の違いがありますが、皮膚表面付近までの水分や栄養分などの補給ができるいわゆる実証タイプであれば、体表面付近には血流が豊富で酸素も十分にありますから、ケイシとマオウなどで停滞する代謝熱をどんどん体表まで運搬して気化・放熱させてやればよいのですが、いわゆる虚証タイプですと貧血や全身の代謝能力が乏しいために、時間の経過とともに体内深部に乏しいながらも排熱し損なった代謝熱が蓄熱し続けます。　このような条件下では排熱のために体表へ血流を多く巡らせると肺に血流が乏しくなって熱がこもって咳をするようになったり、消化器官に血流が乏しくなって食欲不振・消化不良・下痢・便秘などを引き起こしてしまいます。

　このようなときに役立つのがセリ科植物です。　例えばトウキ・センキュウなどは血流が乏しく冷えた低酸素下でも働く解糖系を促進して消化・吸収機能を助け、過剰な熱エネルギーを吸熱して体表まで運搬し、セリ科特有の複散形花序からもわかるように、皮膚表面付近や肺などの毛細血管に熱を細かく分散して保温しながら気化・放熱しやすくすることで、全身の血流分布に負担を掛けることなく排熱が可能となります。　また体表に血流が乏しいことから皮膚表面近傍に気化できない水分が停滞して全身に水分のラップをかけたようになり、その下部に代謝熱が溜まり続けている場合に、皮下深部から水分・栄養分を体表まで引き出して熱とともに皮膚に広く分散して代謝を活性化し、揮発性精油成分によって皮膚表面の湿気に逆って過剰な熱エネルギーをとにかく強力な発散力を利用して気化・放熱するのがボウフウになります。

　さらにボウフウの適応症状が持続して皮膚表面近傍の血流不足が慢性化すると、ついに皮膚表面は冷えて酸素不足であるうえに水分も不足して乾燥してしまいます。　このとき皮下深部から皮膚表面近傍まで含有量の多い脂溶性成分に熱エネルギーを載せて潤しながら少し太めの脈管を通じて引き出し、気化・放熱させるのがビャクシです。　ドッカツ（ウドの場合）は酸素の乏しい地下壕での軟白栽培からわかるように、低温・低酸素・高湿度で光合成のできないエネルギー不足下でも俊敏な解糖系を働かせてまだ寒さの残る早春のみずみずしく水分の多い山菜になります。　このことからもわかるように低温・低酸素下でも脈管や皮下組織に水分や栄養分を運搬して解糖系を活性化し、皮膚の血流が乏しくても気化・放熱できる作用を有しています。　ドッカツに様々な原植物が当てられていますが、ウドは低温・低酸素・高湿度下で生育している上に大量の複散形花序をつけることで発散力が強いため、科が異なるものでも生態が似た生薬であれば代用が効くのかも知れません。

　ここで気がつくことはセリ科植物の中でも特徴のあるものを的確に選抜して生薬として利用してきたすばらしい選択眼です。　似た植物の大変多いセリ科植物は一般に茎葉の色が薄いことからわかるように葉緑素に乏しく、また茎も細く葉数に乏しくアルカロイドも含有しないのでエネルギー不足に陥りやすいことが想像に難くありません。　これらを解消するために解糖系代謝を中心に行い、低温・低酸素・高湿度などに俊敏に適応（解糖系代謝はTCA回路の約100倍の速度）しているのがここで紹介した生薬たちです。

　土壌栄養の乏しい冷たい岩場で香り高いしっかりとした茎葉をつけて生育するトウキ、基本的に花が咲かないまたは咲いても実をつけず、香り高い茎葉をたくさんつけるセンキュウ、草蒸れた草原でも高湿度に負けずに多数の茎を立てて香りを振り撒いて生育するボウフウ、夏期には酸素の乏しい山頂の高原にもかかわらず2m以上にもなって多数の葉や花をつけて発散力が強いビャクシや、みずみずしい茎葉をやはり2m前後まで大きく伸ばし、例え光合成を一切させなくとも俊敏に代謝・生育するドッカツなどなど・・・。　まだまだ挙げればきりがありませんが、このような特徴に注視してこれらを薬として選抜したのでしょうから、できるだけ当時の古人の観察眼に立って利用することが、古人の苦労に報いることになるのではないでしょうか？

　実際の処方運用としては例えば当帰芍薬散は頭冒感（頭に何かがかぶさったような嫌な感じ）に使用される代表処方のひとつですが、これは貧血等で皮膚表面に血液を回せない場合に体内深部に徐々に代謝熱が溜まり続け、この熱が自然の摂理で上方に集まり、放熱できずに頭部に蓄熱した状態です。　当帰芍薬散では全身的に酸欠で乏しい血液を回さなくとも、センキュウで上方まで引き上げた栄養分・水分をトウキが頭の皮膚面の代謝を促進して気化・放熱することでオーバーヒートを防ぐことができます。　また芎帰膠艾湯などでは補剤的な解釈が可能ですが、打撲や怪我をしたときに使用する鶏鳴散（千金方）や鼻づまり・蓄膿症や眼病などに使用する芎黄散など実証タイプの処方にトウキ・センキュウが使用されるケースでは補剤的な解釈では説明ができません。　生態生薬学では実証・虚証に関係なく血液分布に負担をかけず（炎症部位に充血していて他の組織へ分配する血液の余裕がない場合）に下方から栄養分・水分などを上方・体表へ運搬して上方に集まりやすい熱を気化・放熱する作用があることで解釈が可能です。　
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         <pubDate>Thu, 24 Mar 2011 17:52:26 +0900</pubDate>
      </item>
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         <title>黄　檗（オウバク）</title>
         <description>[薬用部位]　Phellodendron amurense Ruprecht （キハダ）またはその他同属植物の周皮（コルク層）を除いた樹皮（代謝の旺盛な形成層）

[起　源]　原植物であるキハダは日本各地の山地、中国北東部、ウスリー、アムール、カラフト及び朝鮮半島など温帯のうちでもやや涼しい環境（冷温帯）を好み、25ｍにもなるミカン科の雌雄異株の落葉性高木です。　山地の沢すじや湿った山のふもとなどのほか腐葉土層が厚く、樹木が適度に密生するような土中にも空中にも水分の多い環境を好みます。　地域による変種・亜種が大変多く少しあげただけでも以下のようなものがありますが、薬用となるものは塩化ベルベリンとして1.2％（乾燥重量）以上含有するものと規定されています。
　Phellodendron amurense var.japonicum(Maxim.)Ohwi…オオバノキハダ、ケキハダ　　　
　Phellodendron amurense var.sachaliense Fr.Schmidt…ヒロハキハダ、カラフトキハダ
　Phellodendron amurense var.lavallei(Dode)Sprague…ミヤマキハダ
　Phellodendron chinense Schneider…シナキハダ
　Phellodendron molle Nakai…ビロードキハダ
　Phellodendron wilsonii Hayata et Kanehira…タイワンキハダ
　＊上記のうち上からの３変種が日本に多いタイプ

[成　分]　アルカロイド類（berberine,palmatine,magnoflorine,phellodendrine,jaterorrhizine,menisperine,N-methylhigenaminen,candicineなど）
　　　　　 リグナン類（lyoniresinol,5,5&apos;-dimethoxylariciresinolなど）
　　　　 　苦味質など（obacunone,limonin（=obakulactone）,dictamnolide,obakunonic acid,lumicaeruleic acid,β-sitosterol,campesterol,7-dehydrostigmasterolなど）
　　　　 　粘液質（phytosterol linolate,phytosterol palmateなどphytosterol のacyl ester）

[用　途]　薬用（ベルベリン製造原料、漢方薬用）、木工用（家具、工芸品など）

[薬　能]　キハダは元来温かい日当たりを好むミカン科の植物ですが、同じ温帯でもやや涼しい冷温帯を好みます。　土壌に水分の多い環境を好み、山の沢すじや山のふもとなどで樹木が多くて空中湿度も高い場所を好みますが、25ｍもの高木になるのは他の植物よりも日当たりを好む性質のせいであると思われます。　5月前後に開花するのは前年の旺盛な代謝によって花芽をつけているためで、春の訪れとともに花芽を開花させて夏期まで時間をかけてゆっくり実を熟す工夫をしています。

　キハダは梅雨明けの頃に最も代謝が盛んになり、周皮（コルク層）下の導管などを含む形成層（薬用部位）が急激に厚くなります。　昔の人々はこれを良く知っていて、梅雨明け頃のキハダの皮剥きは山あいの村などでは夏の風物詩として全国に知られた風習でした。

　キハダが春先に開花するのにもかかわらず代謝が最も盛んになるのが初夏であるのは、高木で枝葉が大量にあるために気温の上昇にともなって水分蒸散量が爆発的に増加するので、水分や栄養分を大量に引き上げるための通路の確保のためであると思われます。　大量のフィトステロールの脂肪酸エステルを粘液質として有し、形成層の下部から上部まで水分を多く保持してキャビテーション（水切れ）を防止しています。

　実際には強力な根圧と水分の蒸散による陰圧による相乗効果と大量の粘液質による樹幹全体での水分保持効果によって大量の水分と栄養分を引き上げています。

　梅雨明けの夏期、きめ細かい周皮で塞がれた形成層には旺盛な代謝と外気温により大量の熱がこもっています。　しかしこれを気化放熱するにはいくつかの問題点があります。　ひとつはミカン科植物としては揮発性成分が少ないことと、もうひとつは高木であることが災いしてその場で即時的に放熱処理ができず、樹幹にこもった熱エネルギーを上方まで引き上げて多くの枝葉などの各シュート末端まで運搬・分散し、これを葉面から気化放熱する必要があるということです。

　キハダは水分を保持して冷却しながら上方の各シュートへ熱エネルギーを分散する方法をとっていますが、高木であるがゆえに熱エネルギーの運搬距離が長く、運搬には大量のエネルギー（ATP）が必要です。　そこでこの運搬に必要なエネルギーを確保するために熱をもったミトコンドリア等にベルベリンを作用させてATPを産生させ、必要なエネルギーを確保していると考えられます。

　成分面でみると、キハダ（オウバク）は単位重量当たりでオウレンの1/5～1/10の少ないベルベリン系アルカロイドで代謝を行っていることを考慮すれば、形成層にこもった熱エネルギーを水分を保持しながら、広く、薄く広げることで活性酸素の発生レベル以下にコントロールしていることがわかり、オウレンに比べてすでにした発生活性酸素の消去効果よりも熱エネルギーレベルの分散・低減効果が高いことがわかります。

　ベルベリン系アルカロイドは分子内全体にかかる大きな共役二重結合で熱エネルギーを吸い取ったり、吐き出したりするバッファーとして極めて重要な役割を果たしています。　またベルベリン系アルカロイドにはジヒドロ体やテトラヒドロ体も豊富に存在することや電子の授受を補助する一面も有することから、ミトコンドリアにおいて水分子生成を行う電子伝達系の補酵素的役割があるものと思われます。

　オウレンとオウバク（キハダ）の相違点は何と言ってもその代謝が盛んになる季節とその温度の違いにあります。　オウレンはまだ寒い早春の10℃以下の地中で冷えた根茎の一端が萌芽して一点に代謝が集中した状態のときに、代謝熱を分散・冷却して局所の熱エネルギーレベルを下げてオーバーヒートを防止するのが本分であるのに対して、オウバクは梅雨明けの25℃以上になって急激に代謝が旺盛となり、形成層にこもった代謝熱を水分で保水して冷却しながら上方へ分散してオーバーヒートを防ぐことが本分です。　どちらも過剰な熱エネルギーを分散・冷却することに違いはありませんが、作動し始める温度が異なることから、オウバクの証は水分が多く、熱量も多いことが予想され、オウレンの証はある一点に熱が集中している場合に適応するものと考えられます。

　例えば慢性的な高血圧の方には手足が冷たいにもかかわらず、心下部が痞える、吐血・衄血・目赤を起こすなどピンポイントの炎症を有する方が大変多いのですが、このような病態はまさに冷えた根茎の一端に代謝熱が集中するオウレンの生態と一致します。　一方オウバクの証では夏期に周皮直下の浅い形成層の代謝が旺盛になる植物の生態から類推すると、体の冷えは少なく、水分含有率の高い浅い粘膜などの組織に熱がこもった場合にこれを保湿しながら熱を分散・冷却するという薬能が考えられます。

　このように点のような局所にこもって分散・冷却ができない熱に適応するのがオウレンであり、粘膜のような広く浅い面に大量の水分とともに熱がこもっている場合にこの熱を薄く、広く伸ばして分散・冷却するのがオウバクであると考えられ、オウレンの証の場合には局所以外はむしろ冷えており、オウバクの証では全身的な冷えはあまりないことが考えられます。

　ちなみにオウレンとオウバクのベルベリン系アルカロイドの成分パターンは大変似ていますが、おそらくウイルスなどによって合成系遺伝子が全く異なる植物にインストールされたのではないかと考えられます。　目立った成分では両者の相同性が高いことから高価なオウレンは安価なオウバクでの代用が効くものとされていますが、湿布などベルベリン系アルカロイドの薬効が重視される場合には代用が可能でも、漢方処方に配剤される場合では両者に上述のような明らかな生態の違いがあるので代用はできないものと判断されます。

　ただし過剰な熱エネルギーを点から面に分散・冷却することの重要性からオウレンとオウバクが同時に配剤されることが多いのも事実であり、また必要でもあります。

　このようなことを考慮するとオウバクは腸の粘膜など水分が多く、浅く平面で面積の広い部位に停滞した熱を分散・冷却することがわかりますので、昔から下痢などの腸の病気に使用してきたのは正しいと言うことができます。　</description>
         <link>http://www.sasazuka.co.jp/10_ecological_pharmacognosy/post_69.html</link>
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         <pubDate>Sat, 19 Mar 2011 18:00:45 +0900</pubDate>
      </item>
            <item>
         <title>半夏（ハンゲ）・天南星（テンナンショウ）</title>
         <description>  　[ハンゲ]　
[薬用部位]　Pinellia ternata（カラスビシャク） の球茎
　
[起　源]　東アジアの熱帯から亜熱帯原産のサトイモ科で草丈10~20ｃｍ前後の多年性草本です。　多汁質の直立茎を有し先端に蛇が立ちあがったような仏炎包（苞葉）をつけ、その内部から付属体と呼ばれる細く長い茎のようなものを鞭のように伸ばして垂らしています。　直立茎から分かれた葉柄を通常2本有し、先端に3枚ずつの葉をつけます。　　比較的湿った場所を好みますが日当たりのよい場所を好むので表土は乾燥しています。　サトイモ科の植物は特にヨーロッパにはめずらしく植物マニアの収集アイテムとして有名ですが、ハンゲは新地に侵入すると種子とむかごと球茎による三重の方法で爆発的に繁殖することから駆除することが難しく、えぐ味が強いので食用にもならないことからアジア諸国では農業の敵として嫌われています。　一方日本においてはハンゲは重要生薬であることから、古くから農家の副収入源として重要でしたので「へそくり」の異名をもっています。

[成　分]　フェニルプロパノイド類　homogentisic acid 及びglucoside、3,4-dihydroxybenzaldehyde 及びdiglucoside（えぐ味成分）
　　　　　その他　protocatechuic acid、cerebroside類、choline、(ー)-ephedrine、シュウ酸カルシウム、でんぷん、アミノ酸、脂肪酸類

[用　途]　薬用（漢方薬用）

　[テンナンショウ]
[薬用部位]　Arisaema属植物の球茎
　
[起　源]　Arisaema serratum (Thunb.) Schott をははじめとする多くのArisaema属の多年生草本です。　多汁質の直立茎の先端に仏炎包（苞葉）をつけることはカラスビシャクと同じですが、大きさがかなり大きく1ｍ近くになるものもあります。　葉はヒトツバテンナンショウの3枚ほどから種類によっては20枚ほどに手掌状や鳥足状につくものまで変異が多く、葉のつき方や葉数のバリエーションが大変多いのが特徴です。　全体的に大柄なうえに仏炎包（苞葉）が暗紫色をしていたり、直立茎がマムシグサのようにマダラの蛇柄をしてグロテスクなイメージのものが多く気味悪く思われがちです。　北米・東アフリカや東アジアなどの熱帯から温帯の高湿度の半日陰～日陰の地域を好みます。　ハンゲが日当たりを好むのに対し、テンナンショウ類は一般に林縁や林床内の半日陰やかなり光量の少ない暗い湿った場所を好む割合に大型なのが特徴です。

[成　分]　triterpenoid-saponin、benzoic acid、p-coumaric acid、ferulic acidなど有機酸類、
cerebroside類、脂肪酸類（diacylglyserol類及びそのglycoside類）、デンプン、アミノ酸、アルカロイド（ごく一部にpyridine、pyrimidine の関連物質、例えばconiine類など）

[用　途]　薬用（漢方薬用）、広く有毒と認識されるものが多いため（すべてが有毒ではない）に球茎をすりおろして何度も水に晒して乾かしたものを練って焼いて食べる救荒食品として全国的に知られています。


[薬　能]　ハンゲ（カラスビシャク）は私が生態生薬学に目覚めるきっかけとなった生薬です。　すべてに通じる大切なことがたくさんあります。

　私が学生時代の真夏のある暑い日のこと、大学（八王子市）の近所を散歩していたときに畑の縁にひょこひょことたくさんの緑色の蛇の頭のように並んで生えているカラスビシャクが、小学校の朝礼のようで何とも可愛らしく、堀り取って持ち帰ろうとしたときのことです。　その時地面をさわって驚きました。　やけどしそうなほど熱かったからです。　この時「カラスビシャクは何故煮えたり、腐敗したりしないのだろう？」と単純に疑問を持ちました。

　その後10年ほどして漢方の研究会で勉強するなかでこのことを思い出し、傷寒論・金匱要略などの古典漢方では主として熱エネルギーの停滞をうまく流すことによって治療していることから、植物にも同じ理論が当てはまるはずであると確信して植物の代謝生理学を徹底的に勉強した結果、カラスビシャクも自身の代謝熱を放熱・冷却するシステムを備えていることがわかりました。　それ以来植物の二次代謝産物というのは、基本的に一次代謝を行うためにオーバーヒートを回避したり、熱エネルギーの停滞によって発生する活性酸素を消去したり、発生を阻止したりすることが本分であり、相撲でいうところの「太刀持ち・露払い」にしかすぎないのだということがわかるようになりました。　したがって二次代謝産物について個別にどんな画期的な薬理作用が発揮されようとも、それは二次代謝産物の本分ではないと言い切る自身がついたことが新たな発見でした。

　またどんな生薬学者も漢方家も述べていない重大なことにも気がつきました。　それは植物たちが常時代謝を行っている温度は、基本的に人体の体温よりはるかに低いということです。　人体に病変が起こった場合に、病変部位に熱エネルギーが過剰であれば排熱とオーバーヒートによって発生する活性酸素の消去が必要になりますが、病変局所には熱エネルギーが過剰でもそのすぐ直近の周囲は血流不良によって温度が低下しています。　植物はその茎・葉・枝・幹のほか花や実をさわってみても必ず人体の体温より低いですから、ほとんどの植物の代謝は人体よりずっと低温で持続的に維持されています。　したがって血流が悪く低温になっている病変組織周辺で生薬の成分が代謝に組み込まれて薬効を発揮するには、低温で代謝を行う生薬（植物）の基本的性質が必要不可欠であるということです。　世界中で植物が医療に利用されてきた最大の理由はここにあります。

　ハンゲ（カラスビシャク）の球茎（地下部）は湿った土壌に照りつける強力な日照により煮えるように蒸れています。　土壌温度を測ってみると50℃を超えることもめずらしくありません。　そこで放熱を行うために花序を支えるがく片より外側に相当する葉が変形して大きくなって表面積を広げ、おしべ、めしべを強い直射日光から守り、これらを適度に保湿するために花序全体をぐるりと1周巻きつき、先端がヘラ状になって表面積を広くして放熱効果を高めた苞葉を形成しています。　また付属体と呼ばれる鞭のような紐状の組織が花序内から長く伸びていて、これによって温度と空中湿度を測って花序内からの水分や精油成分の気化・放熱能力をコントロールしています。

　一方テンナンショウ類は半日陰～日陰を好むために光合成によるエネルギー不足が慢性化しています。　このため花序内にこもる「湿熱」を放熱しやすくするために、仏炎包（苞葉）を濃い色素に染めて吸熱しやすくし、日陰の低温下でも安定した気化エネルギーを確保して持続的に気化・放熱をおこなっています。　さらに栄養豊富な球茎は日陰の低温で湿った土壌でも50ｃｍ～1ｍ近くまで生育しますが、低温下でも外皮に密閉されたみずみずしい球茎内にこもった代謝熱をひき上げて放熱する放熱代謝能力はあまり他に例を見ません。　このことからハンゲ（カラスビシャク）に比べてテンナンショウの方が高湿度・低温でも働く温性が高いことがわかります。　ちなみに同じサトイモ科のミズバショウ(Lysichiton camtschatcense)はもっと酸素の乏しい高層湿原の冷たい水中で生育する植物ですが、これは胃がんの治療に使用されていました。 　

　ハンゲ（カラスビシャク）とテンナンショウ類のどちらにも共通する特徴は通常の植物に比べて極端に葉数が少ないことです。　したがって光合成によるエネルギー補給能力に問題があるので、葉が1枚でも枯れるとエネルギー供給能力に深刻なダメージを受けて生育に支障を生じてしまいます。　このため葉への水分供給を切らせないようにするために、一般に葉脈の主脈が太く水分を葉に多く供給しています。　また葉の枯れ始めは葉縁から起こるので、ダム湖の外周道路のように葉の外縁に沿って水分を供給するために1周太い葉脈を有して葉が枯れるのを防いでいます。　これは半日陰～日陰を好むテンナンショウ類では特にポピュラーな性質で、空中湿度の必要性を物語っています。

　ハンゲ（カラスビシャク）は多汁質の球茎や直立茎にこもった熱エネルギーをアシドーシスで非解離型になり脂溶性の高まっている有機酸類（ホモゲンチジン酸やポリフェノール類）が細胞内に潜り込むことによって、共役二重結合が多く熱エネルギーのキャパシティの豊富なベンゼン環等の分子自身内にたっぷり吸い込み、シュート末端まで運搬・排熱して水分の気化エネルギーとして放熱・冷却しています。　この時豊富な水分も気化・放熱して強力に冷却しています。　また調べてみると放熱効率の高い無臭のイソプレノイド（精油）にも吸熱・気化させて排熱しています。

　人体においては胃内に停滞した水分が時間とともに体温で温められて湯気などの湿熱に変わります。　こもった湿熱（胃腔内及び胃粘膜内）は、上方の胃の口周辺に集中して充血するのでむかつきや吐き気をもよおします。　ハンゲはこの充血や湿熱を上方の食道へ分散し、粘膜上で処理可能なレベルまで冷ましてから気化・放熱することがハンゲの本分と思われます。　したがって胃内には熱を有していることが絶対条件であり、胃部をさわって冷たい方には基本的にハンゲは向かないことになります。　またハンゲにエフェドリンが含有されるか否かについてはかなり昔から議論がありますが、私の学生時代に発表された追試論文によると明らかに含有成分として認められるとのことですが、量的に痕跡程度なのでこれによってハンゲの薬理効果を説明することはできません。

　一方テンナンショウ類はどうでしょうか？　テンナンショウ類は半日陰～日陰を好むために夏期でも林床下などの低温環境を好みますので、人体においても胃の血流が乏しく冷えた状態に向きます。　胃の細胞は冷えていても生きている限りは代謝を行っています。　すると細胞の代謝熱が必ず発生し続けますが、胃の血流不全のために代謝熱は運搬されず組織下に蓄熱し伏熱化し続けます。　テンナンショウ類の球茎は外皮に密閉されて水分が多く、ここに停滞している熱エネルギーをやはり組織上方へ分散させて組織のオーバーヒートを阻止します。　したがってハンゲとは対照的に胃の代謝があまり盛んでない場合の胃の噴門部の痞えにテンナンショウ類が適応するものと思われます。　またテンナンショウ類は日照不足によるエネルギー不足を補完するためにアルカロイドを含むものもかなりあり、このアルカロイドがミトコンドリアに働いてATPを産生するので、血流が乏しくても細胞のエネルギー源ATPが補給され、停滞した熱エネルギーが分散されて消炎作用を現わします。　また病変組織周辺の熱そのものがあまり高くなく、内部に大量の水分と炎症（少ない熱エネルギー）を有している場合に適応できると考えられますから肩・肘・膝などがこれに相当し、また少し大きく考えれば肺疾患（咳・痰など）にも応用できることがわかります。　またテンナンショウ類は大抵のものがceramideやcerebroside等の保湿成分を含有するため、降雨不足の乾燥にも耐えるようにできていて、代謝の乏しい組織に保水力を持たせて血流不全で不足しがちな水分を乏しいながらも保持させてオーバーヒートを防いでいます。　これは保湿を行いながら代謝を行い、放熱する能力のあることを示しています。

　漢方においては胃内停水があって胃の口に充血している状態に適応するのがハンゲであり、古方派が腹証でみずおちの痞えを使用する目標としていることは大変正しいことであると考えられます。　それは胃内停水が慢性化することによって体温（胃の代謝）によって温められて気化して上昇し、胃の噴門部に集中するために胃の噴門部周辺に熱を持って充血し、組織が硬化するのでみずおちが痞えるからです。　このようなときに胃の噴門部周辺はアシドーシスになり、停滞する熱エネルギーが多ければ充血した血液中の二酸化炭素等が気化・膨張して周囲を圧迫します。　これが吐き気やげっぷのメカニズムと考えられ、ハンゲはその生態から胃の噴門部から食道にかけて周辺組織のガス透過性を高めるものと思われますので、このように充血した熱を分散・気化・放熱して炎症を冷まします。　

　虚証と言われる六君子湯証や実証と言われる柴胡剤（大柴胡湯・柴胡加竜骨牡蠣湯証など）や半夏厚朴湯証だけでなく中間証と言われる柴胡桂枝湯証などでは、胃内停水が慢性化して上方の胃の噴門部に熱として集中していますが、ハンゲはこれを上方の食道へ伸ばして広げて放熱しやすくしています。　このとき放熱するための気化エネルギーをサポートするのがショウキョウで、気化後も食道粘膜の温度低下を防いでいます。　ハンゲのえぐ味を抑えるためにショウキョウを同時に配剤するというのは基本的には正しい口訣ですが、必ずショウキョウを同時に使用しなければならないわけではありません。　麦門冬湯や半夏麻黄丸などではショウキョウは配剤されません。　これは胃の上部より上方の食道沿いの脈管内に熱エネルギーが極度に過剰な場合にはショウキョウを入れると放熱効果よりも加熱効果によって食道近辺にさらに熱を持って症状が悪化するからです。

　テンナンショウ類は通常二朮湯程度しか使用しませんが、ハンゲよりも熱性の炎症性に乏しく、通常他の組織より水分含量の多いことが正常であるべき組織内（関節腔や粘膜など）に慢性的にこもった少量の停滞熱エネルギーを引き抜いて、保湿効果によって炎症を冷却・治癒するために使用します。　したがって咳・痰などでも適応するのは炎症性の低い水っぽいもので、痰に血が混じるなどという熱性の強いものには向きません。　また五十肩や肘・膝の痛みでもさわってみて熱感のある急性の炎症性の高いものには向かず、直接触れても熱感がなくて痛みのあるものに向いています。</description>
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         <pubDate>Wed, 19 Jan 2011 10:54:59 +0900</pubDate>
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         <title>附　子（ブシ）</title>
         <description>[薬用部位]　Aconitium japonica Thunberg,A.chinense Siebold ex Paxton,Acharmichaelli Debeaux 及び同属植物の根

[起　源]　キンポウゲ科のAconitium（トリカブト）属植物は1m前後にまで比較的分枝せずに一本の棒状に生育することの多い多年草です。　Aconitium属植物は北半球の温帯から亜寒帯付近までに300種類以上が知られていてその約半分が中国に見られています。　なかでも四川・雲南地域は冷涼なうえに標高が高い（2,000～5,000m）ので世界一日照時間が多いことから日照を好むAconitium属植物が最も多い地域です。　日本でも30種類以上がみつかっていますが現在でも時々変種・亜種が報告されていてまだまだ謎の多い植物のひとつです。　野生品は冷涼で適度に湿った山地（少なくとも標高700～800ｍ以上）の日当たりのよい北側斜面、または夏期に日光を適度に遮る樹下（半日陰）や夏草に埋もれて地温の上昇しない日当たりのよい場所などを好むため、夏期の暑さにはやや弱い性質がありますが、もともと日照を好むため平野部での栽培にも比較的耐える性質があります（種類によっては暑さに極端に弱いものもあります）。　　

[成　分]　アルカロイド類　Aconitine系強毒性化合物：aconitine,jesaconitine.mesaconitine,pseudoaconitine,hypaconitine,indaconitineなど、Atisine系低毒性化合物：atisine,kobusine,ignavine,songorineなど、有効成分とされる化合物higenamine（強心作用）,coryneine（強心・血圧上昇作用）

[用　途]　漢方薬用

[薬　能]　トリカブトはTVドラマなどでよく出てくる毒物として有名ですが、この解説を読んで少しでも「薬」としての正しい有用性を認識して下さい。

　トリカブトは私自身勉強になることが大変多く、様々な体験によって新たな発見をすることができました。

　野生のトリカブトは関東圏では少なくとも標高700～800m前後以上の山の北側斜面に行かなければ見ることができません。　このことは比較的低温で低酸素環境を好むことを意味しています。　しかしながら山野草のなかでは平地での栽培はさほど難しくありません。　これはトリカブトが進化程度の低いキンポウゲ科に属しているためではないかと思われます。　かなり古くから存在する植物ですから地球レベルのプレート移動などによる造山運動以前には平地で生育していたことになり、かつては酸素分圧の高い環境での生活を経験していたことが想像できます。　その後徐々に生育環境地の高度が上昇して現在に至っているものと考えると、平地から山地までの酸素分圧変動に訓化したものと思われますから、酸素分圧については比較的適応能力範囲が広いものと判断されます。　トリカブトにはこのような環境変化適応能力があるために夏期の高温には弱いものの平地での栽培が容易なものと思われます。

　トリカブトの草姿を見ると、分枝しない高い草丈の割合に葉数とその総面積が大変少なく棒状であることに気がつきます。　トリカブトが萌芽のする早春の山あいはまだ大変寒く、夏期になるまでゆっくりと時間をかけて1ｍほどまで生育して開花します。　これは光合成に必要な葉の総面積が少ないことによってエネルギー不足が常態化しているためであり、エネルギー獲得のために日照を好みます。　また乏しい解糖系による産生エネルギーを補填するために植物体全体にアルカロイドを含有し、これを葉緑素やミトコンドリアに接合させて膜の内外に電位差を生じさせ、ATPを産生して不足分を補っています。

　栽培してみるとすべての葉が虫害にあって一枚もなくなり、杖のようになることは良く経験することですが、風の当たらない日陰で養生すると必ずその最先端から芽が出て葉を広げることから、小指の先ほどの小さな根のポンプ能力（根圧）には他の植物とは一線を画するほどのものがあることがわかります。　また活性酸素の消去系に乏しい植物ですので暑さを嫌いますから夏期の温度管理は重要ですが、あまり日陰に置くと花が咲かなくなることにも注意が必要です。

　また開花期には植物体の大きさの割合に大きめの花を大量につけることから、エネルギー不足はさらに深刻化します。　そこで夏期にはエネルギー補填のためにアルカロイドを多く必要とするはずですが、トリカブトのアルカロイドは開花期と早春の萌芽前のエネルギーをより多く必要とする時期に最も多く含有するので、アルカロイドによるエネルギー産生の仮説の正しさを裏付けています。

　花冠をみるとさらに変わった特徴に気がつきます。　通常皆さんが「美しい花」と思っているのは実はがく片です（キンポウゲ科の特徴）。　進化レベルの低いトリカブトは花弁が発達していないので花冠を分解するとようやく確認できる程度です。　ではトリカブトは何故がく片をあれほど目立つ濃い青色～青紫色にするのでしょうか？　これは標高の高い山地で有害な紫外線を反射しておしべ・めしべや子房を守るためです。　また濃い青色～青紫色のスペクトルの性質を考慮すると、暖色系の赤色や赤外線を吸収することから、冷涼な山地の気候下で花冠内のおしべ・めしべや子房を保温して昆虫の訪問を促進して受粉しやすくしているものと考えられます。

　人体においてはブシは全身に水分を配分する浄水場のポンプの役割（腎臓）を補佐することが本分ですが、トリカブトの花冠の性質を考慮すると、シュート末端（主として皮膚）は冷たく乾いているはずです。　ブシは37℃前後の温血を全身へ運搬・配分するので結局皮膚面は温まることになります。

　Aconitine系化合物（強毒性）はNaチャネルを開放して細胞の代謝を急速に亢進するために、結果として二酸化炭素が急激に大量発生して血液中で気化・膨圧するので血圧が急上昇し、マロリーワイス症候群で有名な比較的薄く切れやすい胃の噴門部の血管が破裂して吐血することはTVドラマなどでもお馴染みの症状です。

　私はかつて自分で附子理中湯を服用してこれを経験したことがあります。　足が冷えて胃にドライアイスでも呑みこんだように胃が冷えたときに附子理中湯を服用したところ、10分もしないうちに手足・顔は温まりお腹も温まり始めたので安心していたところ、急に胃の噴門部に熱感を覚え、時間の経過とともに胃の噴門部がねじ切られるような激痛に襲われました。　家内が機転を利かせて半夏瀉心湯を服用させてくれたために症状は急速に消退しましたが、今度はその後約１時間ほどの間げっぷが止まらなくて困りました。

　そしてそのげっぷの量は本人の感覚からすると胃袋100~200個分はあろうかと思われるほど大量でした。　このことはまさに上述の通りの現象が起こった証拠で、ブシによる代謝亢進の結果胃の噴門部に集中した二酸化炭素を半夏瀉心湯がガスとして胃の噴門部から逃がしてくれたために起こった生理現象です。　もし半夏瀉心湯を服用しなければ二酸化炭素の膨張圧で吐血していたかもしれません。

　これはトリカブト（ブシ）による代謝亢進によって全身の細胞から産生された二酸化炭素の膨張圧が胃の噴門部に集中したものを、おそらく半夏瀉心湯を服用することによって胃から食道付近にかけての二酸化炭素の透過性が高まってガスとして放出したものと思われます。

　胃の噴門部付近は元来脈管が薄く、破れやすく出来ています（緊急時のバッファー排泄口）が、同時にガスの透過性（吸収・排泄など）も高くなっています。　これは皆さんが仕事の終わりに飲む１杯目のビールのうまさでもわかるように、胃粘膜からビールの二酸化炭素が吸収されて重炭酸イオンとなり、疲労でアシドーシスに偏った血液を急速に中和するので爽快感があって疲れが吹き飛ぶのです。　このようにブシの薬能を知るためには胃の上部粘膜組織の二酸化炭素透過性が高いことも知っておく必要があります。

　この貴重な体験から実に数多くの知見を得ることができました。　それはアルカロイドによる代謝亢進によって産生された大量の二酸化炭素が人体内でも植物体内でも急激な膨張圧を起こすことです。　植物体内では導管・師管に＋αで加わった圧力により、腋生する花や実に水分や栄養分を送付するために追加で必要な脈管圧を補填することができます。　人体においては、代謝亢進による温められた温水を脈管外へ水分・栄養分を押し出して供給する能力を付与するものと考えれば、リンパの流れを強制的に駆動させる動力源としての解釈が可能となります。

　このようにAconitine系化合物（強毒性：亜高山帯に多い）は、細胞レベルで代謝を亢進するために全身的な効果の発揮能力が高く急激で強力な膨張圧上昇によって脈管内圧の上昇が急激な変動を示すために、薬効というよりも毒性としての性質が強く認識されています。　一方でAtisine系化合物（弱毒性：より標高の高い低酸素高山帯に多い）やその他アルカロイド類には、通常の薬理作用として検定可能なレベルの強心・血圧上昇作用がありますが、これはより低酸素で過酷な環境下で上方のシュート末端まで水分や栄養分を送るポンプ能力が必要であるからと考えられます。　事実小指の先ほどしかない小さな根から1ｍほど上方まで水分・栄養分などを重力に逆らって持ち上げるポンプ能力は通常の植物にはない能力と言えます。　このような現象は見方を変えれば作用時間が緩和な薬理作用は「薬効」とされ、急激な生理的変動を示す薬理作用は「毒性」とされるとも言えるかもしれなません。

　しかし漢方に精通している方ならば、傷寒論（蕨陰病編）などの陰病において熱などによる減毒処理をしない「生のブシ」が四逆湯類に使用されることを知っているはずです。　陰病が全身の細胞レベルで代謝低下していることを考慮すると、全身の細胞の代謝を亢進するので代謝熱産生が上がって全身が温まります。　また陰病では代謝が乏しいので体表まで水分や栄養分を送付する能力が低下しているので皮膚は冷たく乾燥しています。　ブシは代謝の亢進によって前述のように発生した二酸化炭素による急激な膨張圧の上昇を起こして脈管内圧を上げて脈管外（特に人体のシュート末端である皮膚面）へ温まった水分・栄養分などを送付する作用（リンパの流量を上昇）を期待しているものと考えられ、これが陰病に「生のブシ」を使用する理由と思われます。

　したがって陰病でない方に「生のブシ」を使用すれば、脈管が急激な膨張圧変化に耐えられず破れて全身性の出血を起こすものと思われ、これはいわゆるトリカブトの毒性に相当しますが、漢方においては「生のブシ」を使用する脈の目標が「沈細」でなければならないことは脈管圧が低いことが必須であることを意味しますので、ブシによって脈管にさらに加圧するとする考え方との合理性をみます。

　修治した減毒ブシに多いAtisine系化合物（弱毒性：より標高の高い低酸素高山帯に多い）やその他アルカロイド類には前述のように強心・血圧上昇作用がありますので、脈管内物質の増減をせずに主として心臓や腎臓によるポンプ送液能力を高めて全身に温かい血液を送付・分配することで代謝を助けることが主体となるのに対して、生のブシに多いAconitine系化合物（強毒性：亜高山帯に多い）には細胞レベルで代謝を亢進するので、脈管内に大量の二酸化炭素を急激に発生させて脈管圧を加圧し、脈管外へ水分・栄養分などを押し出してリンパ系を潤し、リンパ系脈管の加圧作用によって皮膚面など体表までくまなく温めて代謝を上げるものとして解釈することができます。

　また以上のことから修治ブシの証では心臓や腎臓などの冷えによって温血を酸欠状態の全身に巡らせるポンプ能力が低下した場合に使用すべきであり、生のブシの証では全身性の酸欠状態による代謝不全による冷えで脈管圧まで低下して皮膚まで温血がめぐらなくなっている場合に脈管圧を上昇させて皮膚面まで温血を巡らせるために使用すべきであり、前者では皮膚の冷え・乾燥はあるものの後者では皮膚面の冷え・乾燥だけでなく枯燥感・皮膚の色が悪い・皮膚に張りがないなど皮膚面の栄養不良まであることが必須条件となることがわかります。

　したがって麻黄細辛附子湯・桂枝加苓朮附湯や八味丸などを使用する場合では皮膚面の冷えと乾燥はあっても枯燥感・皮膚の色が悪いなどはなく、蕨陰病などで四逆湯類を使用する場合には血行不良による枯燥感・皮膚の色が悪い・皮膚に張りがないなどが必ずあるはずであることがわかります。</description>
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         <pubDate>Fri, 14 Jan 2011 10:09:24 +0900</pubDate>
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